研究課題
Actinomyces orisのバイオフィルム形成機構の解明を目指し,バイオフィルム形成能を高度に維持しているK20株,MG-1株を供試菌として用い,次の2つの実験系列を並行して実施した.1つ目は,既にドラフト情報が得られているK20株ゲノムの解読である.その高いGC含量のため完全解読には至らなかったが,コンティグ配列の連結を進め,得られたゲノムデータを公共データベースにアップするに至っている(DDBJ, BABV01000001-BABV01000771).また,得られたゲノム情報を既知のMG-1ゲノム情報とin silico解析で比較し,バイオフィルム形成に関わる遺伝子や発現制御系をいくつか同定し発表した.2つ目は,トランスポゾンを用いた変異導入によるバイオフィルム欠損株の単離とその原因遺伝子の同定である.MG-1株において40株のバイオフィルム欠損株を得ており,そのうち12株においてトランスポゾン挿入部位の決定に至っている.本研究課題の遂行により,初期付着細菌であるActinomyces属細菌のバイオフィルム形成に関わる重要な遺伝子候補がいくつか同定されてきた.本研究課題をさらに進めることで,この細菌種のゲノムレベルでの分子解剖を可能にし,口腔プラークの初期形成段階の機構の解明にも大きなインパクトを与えるものと確信している.そして,本研究課題で明らかになったバイオフィルム関連遺伝子の機能発現の全容を明らかにし,これを阻止することによってバイオフィルム形成を制御する方法の開発につながるものと考えている.
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