研究課題
本年度では、自然科学研究機構生理学研究所の共同利用研究機器(3.0テスラ)を使用し、電磁波を用いた脳血流および指尖血流計測を行いつつ、 舌背の有郭乳頭にカスタムメイドの口腔内装置を用いて、トウガラシエキス、食塩水、水を提示し、脳賦活領域および自律神経活動の変化を調べた。Conjunxtion analysis により、舌背への味溶液滴下を感知した感覚野の活動、その事を知らせるボタン押しを反映した運動野の活動、さらに、味溶液滴下により引き起こされた島皮質の活動のすべてが認められた被験者20名において集団解析を行った。島皮質前方部、中部および後部のROI analysis を行った結果、トウガラシエキス投与は、他の溶液投与に比べて有意に強い賦活を島皮質すべての部位で引き起こしたが、その応答は島皮質前方部で大であることが明らかになった。さらに、同部位のTime course analysis を行った結果、3種類の味溶液はともに5秒前後にピークに達するPercent signal chenge (PSC)を引き起こすことが明らかになった。また、食塩水投与時のPSCから水投与時のPSCを差し引いて得られた相対的PSCは顕著ではなかったが、同様にして得られたトウガラシエキス投与時の相対的PSCは、溶液の投与開始後10秒前後でピークに達した後、緩やかに減衰した。こうした所見は、トウガラシエキスの味覚受容により島皮質前方部および後方部間で同期化した神経活動が引き起こされたことを示唆する。本研究では、膜電位測光法を用いて、ラット島皮質味覚野がカプサイシンにより活性化した時に、島皮質自律機能関連領野の活性化が引き起こされ、さらに、ヒトfMRIを用いた実験でも、同様の所見が認められたことから、辛味刺激により生じる自律神経反応の神経機構の一端が明らかになった。
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Pflugers Archiv - European Journal of Physiology
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Experimental Brain Research
The European Journal of Neuroscience
巻: 38(7) ページ: 2999-3007
10.1111/ejn.12299
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