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2011 年度 実施状況報告書

Wnt5a‐Ror2シグナルによる破骨細胞のアクチンリング形成制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23792134
研究機関松本歯科大学

研究代表者

上原 俊介  松本歯科大学, 歯学部, 助教 (90434480)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード破骨細胞 / 極性化 / 骨吸収 / Rho / Wnt非古典経路
研究概要

Wnt非古典経路を活性化するWnt5a-Ror2シグナルが破骨細胞のアクチンリング形成にどのような役割を果たすか解明するため、下流の標的分子を同定することを目的としている。昨年度までの研究で、低分子量Gタンパク質であるRho及びRacがWnt5a刺激により活性化されることを明らかにしていた。そこで、今年度は当初予定していた網羅的な解析ではなく、Rho及びRacに絞った解析を行うことにし,以下のことを明らかにした。 1.Ror2を欠損した破骨細胞をWnt5aで刺激してもRho及びRacの活性化は生じなかった。2.Ror2を欠損した破骨細胞に恒常的活性型のRhoまたはRacをアデノウイルスを用いて過剰発現したところ、恒常的活性型のRhoを発現させた場合のみ、アクチンリングが形成され、骨吸収も起こった。以上の結果より、破骨細胞においてWnt5a-Ror2シグナルはRhoの活性化を介してアクチンリング形成を制御していると考えられる。 次に、Wnt5a-Ror2シグナルの下流でRhoの活性化に関わる分子を探索した。これまでに、Formin homology (FH)ドメインをもつタンパク質であるdishevelled associated activator of morphogenesis (Daam)1という分子が、Wnt非古典経路におけるRhoの活性化において重要であることが知られている。そこで、破骨細胞におけるFHドメインを含むタンパク質の発現を網羅的に解析し、Daam2, FMNL2, FMNL3を同定した。現在、これらの分子がアクチンリング形成において果たす役割を解析中である

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画では、網羅的解析によってWnt5a-Ror2シグナルの標的分子を探索、同定する予定であったが、予備的な実験により有力な候補を見出すことができたため、その分子に着目して研究を進めた。それにより、Wnt5a-Ror2シグナルの下流でアクチンリング形成に関与する分子を一つ、候補となる分子を複数同定することができたため、目的はおおむね達成できたと考えている。

今後の研究の推進方策

1.FHドメインをもつ分子のうち、Wnt5a-Ror2シグナルの下流でRhoの活性化に関与する分子を同定する。アデノウイルスを用いて各タンパク質の遺伝子に対するshRNAを発現させ、Rhoの活性化が抑制されるか、アクチンリング形成が阻害されるか、を明らかにする。2.1.で同定した分子の過剰発現により、Ror2を欠損した破骨細胞でアクチンリング形成が生じるかを調べる。3.Wnt5a及びRor2の成熟破骨細胞における役割を解明するため、破骨細胞特異的遺伝子欠損マウスを作製し、骨量を調べる。3.Rhoの下流で、アクチンリング形成に関与するタンパク質の同定を試みる。Rhoの下流で働く分子としてRhoキナーゼ(ROCK)が知られているが、ROCK阻害剤を用いた予備的な研究では、アクチンリング形成は抑制されなかった。そのため、その他の分子が重要である可能性を考えている。

次年度の研究費の使用計画

shRNA発現用のアデノウイルスを構築するために、shRNAの配列をデザインし、オリゴDNA合成を業者に委託する。アデノウイルスベクター作成用のキットを購入する。また、過剰発現用のベクターを構築するためのキットを購入する。これらのベクター作成の過程で必要になる、大腸菌培養に必要な器具及び試薬、遺伝子組み換えに必要な制限酵素を購入する。shRNAにより目的タンパク質の発現が低下しているか、また、過剰発現により目的としているタンパク質の発現が増加しているかを調べるためにウエスタンブロットを行う。必要な抗体及び検出試薬を購入する。破骨細胞特異的遺伝子欠損マウスを維持するためにケージ、床敷き及び滅菌済み餌を購入する。Rhoの下流で働くタンパク質の候補を調べるためにRT-PCR法を用いる。それに必要なRNA精製キット及びPCR用のプライマー、酵素及びプレートを購入する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Wnt5a-Ror2 signaling between osteoblast-lineage cells and osteoclast precursors enhances osteoclastgenesis.2012

    • 著者名/発表者名
      Maeda K, Kobayashi Y, Udagawa N, Uehara S, Ishihara A, Mizoguchi T, Kikuchi Y, Takada I, Kato S, Kani S, Nishita M, Marumo K, Martin TJ, Minami Y, Takahashi N
    • 雑誌名

      Nat. Med.

      巻: 18 ページ: 405-412

    • DOI

      10.1038/nm.2653

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Polarized osteoclasts put marks tartrate-resistant acid phosphatase on dentin slices -A simple method for identifying polarized osteoclasts.2011

    • 著者名/発表者名
      Nakayama T, Mizoguchi T, Uehara S, Yamashita T, Kawahara I, Kobayashi Y, Moriyama Y, Kurihara S, Sahara N, Ozawa H,Udagawa N, Takahashi N
    • 雑誌名

      Bone

      巻: 49 ページ: 1331-1339

    • DOI

      10.1016/j.bone.2011.09.045

    • 査読あり
  • [学会発表] アルクチゲニンはNFATc1の核移行を促進するが転写活性を抑制する2011

    • 著者名/発表者名
      山下照仁、上原俊介、小林泰浩、宇田川信之、高橋直之
    • 学会等名
      第29回日本骨代謝学会学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪)
    • 年月日
      2011年7月30日
  • [学会発表] 破骨細胞の極性化指標-TRAP-markは分泌痕跡である2011

    • 著者名/発表者名
      中山貴裕、川原一郎、上原俊介、山下照仁、溝口利英、小林泰浩、小澤英浩、 宇田川信之、高橋直之
    • 学会等名
      第29回日本骨代謝学会学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪)
    • 年月日
      2011年7月28日

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公開日: 2013-07-10  

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