研究課題/領域番号 |
23792135
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
中道 裕子 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (20350829)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / 破骨細胞前駆細胞 / Ryk / Wnt |
研究概要 |
全身的Ryk KOマウスにおいて、破骨細胞数の減少が認められた。in vitroにて破骨細胞系列の細胞はRykを高レベルに発現することを見出した。さらに、Ryk KOマウス由来造血細胞は破骨細胞分化能が低下していた。これらの結果から、Rykシグナルは破骨細胞分化を直接促進していることが示唆された。これを、in vivoで証明するため、Cre-loxPシステムによる破骨細胞系列特異的Ryk cKOマウスの解析を行った。(i)破骨細胞前駆細胞(Ocp)および破骨細胞特異的にCreを発現するRANK-Cre KI (Knock inとRyk floxマウスの交配より得られたRANK-Cre, Rykflox/-(Ocp-Ryk cKO)マウス、および(ii) 破骨細胞 (Oc)特異的にCreを発現するCathepsine K-Cre KIマウスとRyk floxマウスの交配より得られたCathepsine K-Cre, Rykflox/-(Oc-Ryk cKO)マウスを用いて解析した。小林(研究協力者)らが解析したOcp-Ror2 cKOマウスおよびOc-Ror2 cKOマウス(Ror2 floxマウスは神戸大 南康博教授からご供与(研究協力者))の結果を比較した。Ocp-Ryk cKOマウスおよびOc-Ryk cKOマウスについては、現時点で多数得られ、genotyping PCRにてRyk遺伝子の欠失を確認し、さらにRT-PCR法によりRyk遺伝子の転写がOcpおよびOc特異的に抑制されていることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ocp-Ryk cKOとOc-Ryk cKOマウスの解析が順調に進んでいる。即ち、両マウスを用いたgenotyping PCRとRT-PCR解析の双方において、Ryk遺伝子の欠失および転写抑制がOcpおよびOc特異的に行われているることが確認された。マウスも順調に成長し、充分なN数が得られ、結果の再現性も得られている。
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今後の研究の推進方策 |
骨芽細胞(Ob)系列特異的Ryk cKO(Ob-Ryk cKO)マウスの解析を行う。Ocp-Ryk cKO、Oc-Ryk cKO、およびOb-Ryk cKOマウスの解析より、骨代謝に重要なWnt3aおよびWnt5aシグナルの下流でRykが担う部分を明確にする。さらに、in vitroにてリガンド刺激下でのRykシグナル調節機構を解析し、Ryk自身のリン酸化の有無を調べ、次にRyk相互作用因子を探索する。併行して、リン酸化アレイ解析を行い、Ryk下流のシグナルカスケードを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウスの床敷および餌に10万円、分子生物学関連試薬および器具に100万円、細胞培養関連試薬および器具に20万円使用し、合計130万円で当初の予定通りに実験を行う予定である。本申請研究の成果を第30回日本骨代謝学会(東京, 7月19~21日)にて行い、このための旅費に10万円使用予定である。
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