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2012 年度 実績報告書

味覚の受容・認知機構における加齢の影響

研究課題

研究課題/領域番号 23792136
研究機関大阪歯科大学

研究代表者

乾 千珠子(山本千珠子)  大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (00419459)

キーワード加齢 / 味覚嗜好性 / 鼓索神経 / 味細胞 / 二瓶法
研究概要

食べ物の美味しさを感じられることは、健康的な食生活の維持に重要である。しかし、味覚の感受性は加齢に伴って低下するという問題がある。このような味覚機能の低下の原因は明らかにされていない。そこで、加齢に伴う味覚機能の変化のメカニズムを明らかにすることを目的とし、行動学的、免疫組織化学的および電気生理学的手法を用いて検討した。実験動物として3-6、8-11、17-20、34-37、および69-72週齢の雄性ラットを用いた。様々な味質の溶液(甘味、酸味、苦味、塩味、うま味)と蒸留水のどちらを好むかを判別するために、二瓶法を用いて各味溶液の嗜好率を算出した。その結果、週齢の増加に伴って甘味またはうま味に対する嗜好率は低下した。一方、苦味の嗜好率については、週齢の増加に伴って高くなった。塩味または酸味については週齢間で差はみられなかった。さらに、同質の味について濃度比較をしたところ、69-72週齢のラットは酸味以外の味溶液では低濃度よりも高濃度の溶液を好む傾向を示した。したがって、週齢の増加に伴い、味の閾値が高くなっていること、また、甘味、うま味および苦味に対する味覚嗜好性は加齢により変化しやすいことが行動実験から明らかとなった。次に、甘味、うま味または苦味受容細胞に特異的に発現する蛋白質を免疫組織学的手法によって検出し、受容細胞の数を週齢間で比較・検討した。その結果、週齢間で受容細胞の数に大きな差は認められなかった。また各週齢のラットの舌に味溶液の刺激呈示をした際の鼓索神経(味覚神経の一つ)の応答を記録した実験でも、週齢間で応答に大きな違いは認められなかった。これらのことから、加齢に伴う味覚嗜好性の変化には、末梢機能よりも、動機づけや情動などに関わる中枢神経系の変化が大きく影響している可能性が高いことが示唆された。したがって、加齢に伴う脳機能の変化について、今後検討すべきである。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] ライフステージにおける味覚嗜好性の相違の検討2013

    • 著者名/発表者名
      乾 千珠子
    • 雑誌名

      歯界展望

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

  • [雑誌論文] 加齢による味覚嗜好性の変化2012

    • 著者名/発表者名
      乾 千珠子
    • 雑誌名

      日本味と匂学会誌

      巻: 19 ページ: 317-320

    • 査読あり
  • [学会発表] Age-related changes in taste preference in rats

    • 著者名/発表者名
      Chizuko Inui-Yamamoto
    • 学会等名
      XVI International Symposium on Olfaction and Taste
    • 発表場所
      ストックホルム
  • [学会発表] 加齢による味覚嗜好性の変化

    • 著者名/発表者名
      乾 千珠子
    • 学会等名
      日本味と匂学会第46回大会
    • 発表場所
      大阪
  • [学会発表] 加齢によりもたらされる味細胞の変化

    • 著者名/発表者名
      上田 甲寅
    • 学会等名
      日本味と匂学会第46回大会
    • 発表場所
      大阪
  • [学会発表] ライフステージにおける味覚嗜好性の相違についての検討

    • 著者名/発表者名
      乾 千珠子
    • 学会等名
      第54回歯科基礎医学会学術大会ならびに総会2012
    • 発表場所
      福島
  • [学会発表] ライフステージにおける味覚嗜好性の相違の検討

    • 著者名/発表者名
      乾 千珠子
    • 学会等名
      第22回日本歯科医学会総会
    • 発表場所
      大阪
  • [学会発表] The changes in taste preference by aging in rats

    • 著者名/発表者名
      Chizuko Inui-Yamamoto
    • 学会等名
      Neuro2013
    • 発表場所
      京都
  • [学会発表] Taste preference changes in different life stages of rats

    • 著者名/発表者名
      Chizuko Inui-Yamamoto
    • 学会等名
      21st Annual Meeting of the Society for the Study of Ingestive Behavior
    • 発表場所
      ニューオーリンズ

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公開日: 2014-07-24  

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