研究課題/領域番号 |
23792143
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
斎藤 美紀子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90401760)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 頸部リンパ節転移 / センチネルリンパ節 / 画像診断 |
研究概要 |
平成23年度は、予備研究を行った。すなわち、舌癌T1/2cN0症例およびT1/2で頸部リンパ節に転移をきたした44症例(男性24例、女性20名、年齢22~88歳)を対象とし、顎舌骨筋欠損の有無と顎下リンパ節転移の有無の関連を検討した。術前の造影CTにおいて、顎舌骨筋が部分的に断裂し脂肪濃度あるいは唾液腺濃度が認められたもの、顎舌骨筋を貫通する血管構造が認められたものを顎舌骨筋欠損ありと判断し、欠損の有無の割合について検討した。また頸部リンパ節転移のみられた症例については顎舌骨筋欠損の有無と顎下リンパ節転移の有無を比較した。その結果、今回対象とした舌癌T1/T2症例において患側に顎舌骨筋欠損がみられたのは61.3%であり、そのうちリンパ節転移ありの症例では66.6%、転移なしの症例では57.7%であったが、リンパ節転移の有無と顎舌骨筋欠損の有無の間に統計学的な関連はみられなかった。一方、リンパ節転移ありの症例のうち、顎下リンパ節への転移があった症例では、全例に顎舌骨筋欠損がみられ、顎舌骨筋欠損と顎下リンパ節転移には統計学的な関連がみられた。平成23年度の予備研究の結果から、顎舌骨筋欠損の有無と頸部リンパ節転移の有無には関連はみられないが、顎下リンパ節への転移については顎舌骨筋欠損が関連することが示された。したがって、本研究課題では舌癌の顎下リンパ節の転移と顎舌骨筋欠損の有無の関連を検討するものであるが、顎舌骨筋欠損の必ずしもリンパ節転移そのもののしやすさとは関連しないという裏付けを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度は、本来の研究計画では、インフォームドコンセントの得られた舌癌T1/2症例に対し、原発巣の切除前にCT-lymphographyを施行し、舌から顎舌骨筋を貫通し、顎下リンパ節へ到達するリンパ流の有無と顎舌骨筋欠損の有無の関連を検討する予定であったが、実施施設の都合でCT-lymphographyが施行できず、研究の達成度は不十分であったと考えられる。しかしながら、その期間に造影CTのデータを用い、本課題の予備研究となる舌癌症例での顎舌骨筋欠損の割合、顎下リンパ節への転移の頻度を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、インフォームドコンセントの得られた舌癌T1/T2症例に対し、舌の原発腫瘍周囲に非イオン性ヨード系造影剤を注入し、注入後10~15分後に上内頸静脈リンパ節から下内頸静脈リンパ節までの範囲に含めて撮影するCT-lymphographyを施行し、舌癌T1/2症例でのリンパ流の経路と顎舌骨筋欠損の関連を検討する予定である。また、平成23年度にCT-lymphography検査を行うことができなかったため、検査にかかる費用に相当する研究費が未使用となっている。平成24年度はCT-lymphographyを施行するため、前年度の研究費も合わせて使用する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、インフォームドコンセントの得られた舌癌T1/2患者にCT-lymphographyを施行し、得られた画像データの解析を行う予定である。また、The 9th Asian congress of oral and maxillofacial radiology(平成24年9月 中国)、第31回日本口腔腫瘍学会 (2013/1/24-25、東京)での研究成果発表を予定している。さらに、平成23年度の予備研究の結果を学術誌に投稿予定である。
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