研究課題/領域番号 |
23792147
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
高木 幸則 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30295084)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | IgG4関連疾患 / MRI / 超音波 / 画像診断 |
研究概要 |
これまで、ミクリッツ病はシェーグレン症候群の一亜系と考えられてきた。しかしながら近年になって、血中のIgG4の上昇と組織中へのIgG4陽性形質細胞浸潤を伴う全身疾患の部分症であるとの新しい疾患概念が我が国より世界に向けて発信されている。その病態、病因に関する研究はまだ始まったばかりで、多施設において様々な研究が進められている。今回我々はIgG4関連疾患唾液腺の画像診断、特にMRIや超音波診断の有効性を検証し、その特徴を明らかにすることと、ステロイドによる治療効果の判定などへの応用についても併せて検討を進めた。 当院においてIgG4関連ミクリッツ病と診断された8名の患者に対し、涙腺および唾液腺のMRIならびに超音波画像検査を実施した。また、ステロイド治療経過中に再度同検査を施行し、画像所見と血清IgG4値の推移を比較した。 本症例では、涙腺、耳下腺、顎下腺、舌下腺のうち、最も罹患率の高い組織は顎下腺で、次いで耳下腺と涙腺、最後に舌下腺の順であった。超音波画像検査ではそれら組織での変化をMRIに比べ、より鋭敏に捉えることができ、大きく3つのパターン( (1)打抜き状(2)隔壁状(3)石けん泡状)に分類可能であった。また、ステロイド治療後の血清IgG4値の低下に伴って、腺組織の回復過程を明瞭に捉えることができた。 これまでの研究成果より、超音波画像検査法は簡便、安価で、非侵襲的画像検査法として、IgG4関連ミクリッツ病の診断に有用であると認識される。また、IgG4関連疾患にはステロイドが奏功するが、治療途中で、しばしば再燃することも報告されており、治療効果の判定やその後のフォローアップに関しても、現時点で最も適した画像検査法と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IgG4関連疾患唾液腺の診断に超音波画像検査法が現時点で最も有用で、治療効果の判定やその後のフォローアップに関しても十分適応できることが把握できた。
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今後の研究の推進方策 |
更に症例数を重ね、IgG4関連疾患唾液腺の診断ならびに治療効果判定基準の策定を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
必要な研究費の使用状況については、前年度から大きな変化はなく、同様の消耗品、調査・研究費、謝金等を計上予定である。
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