研究課題
我々は核内蛋白であるnucleolin分解の調節機構がアポトーシスの実行機構、抗癌剤や放射線治療の悪性腫瘍細胞に対する障害性を制御する可能性があり、分子イメージングの対象や疾患治療の分子標的となりうると予想して基礎医学的な研究を重ねてきた。この現象は抗癌剤処理を施した顎下線癌細胞においても同様に認められ、nucleolinと AgNOR proteins の変化が DNA の断片化とアポトーシスの最終実行機構に関与している可能性が示唆された。紫外線誘導アポトーシスにおいても同様の結果を導いている(Kito S.et al.2011)。現在ではnucleolin、nucleophosmin等の核小体蛋白の欠損によってp53が増加し、核小体蛋白は癌細胞の生死に密接に関わる事がわかっている。我々はこれまでに18F-FDG-PET-CTを施行した口腔癌患者において辺縁性歯周炎や根尖性歯周炎といった歯性感染症に対して18F-FDGが集積し、その骨吸収の程度が大きくなればなるほど the highest standardized uptake value(SUVmax) が上昇する事を初めて報告した(Kito S.et al.2012)。歯性感染による骨吸収部への集積は悪性腫瘍の原発巣に匹敵するものもあった。さらに、口腔癌患者において正常軟組織である上下顎レベルの表情筋や舌にSUVmax=2.5以上の生理的集積が存在する事を初めて具体的に示した(Kito S.et al.2013)。口腔癌の患者では通常の患者に比べて原発巣以外の炎症や正常組織にも18F-FDGが高集積する事が多い。より適切な診断を行う為にもこれらの集積に注意が必要である事を我々のdataは初めて詳細に示した。
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