本研究の目的は、光照射型コンポジットレジンの重合収縮挙動並びに重合収縮応力を3次元的に解析し、理論的に説明することができなかった光重合型コンポジットレジンの重合収縮を視覚的に理解し、解析できるようにすることである。 コンポジットレジン製モールド内に充填した、実験用コンポジットレジン内の特殊フィラーを、マイクロCTから得られた光照射前と光照射後の3次元画像より抽出する。次にこの抽出された特殊フィラーの位置を、本実験用に開発した画像解析専用ソフトウェアを用い、3次元座標上に正確に記録する。光照射前と後における各々の特殊フィラーの移動距離を解析することにより、モールド内の実験用コンポジットレジンの重合収縮挙動を視覚的に理解し解析することに成功した。 しかしながら重合収縮挙動の解析だけでは、光重合型レジンコンポジットの重合収縮時に発生する、歯質とのギャップフォーメーションを理解することはできない。そこで重合収縮応力を定量的に計測できるガラス製モールドを使用した方法を用い、重合収縮挙動並びに重合収縮応力を同時に観察、計測できる方法を考案した。実験の結果、ガラス製モールドの弾性率はレジンコンポジット製モールドに比べ極端に高い為、実験用レジンコンポジットとガラスとの界面の間に重合収縮による亀裂が発生することがあり、重合収縮挙動と重合収縮応力の関係を同時に計測、観測できる再現性の高いモールドを、今実験で使用することは難しかった。 コンポジットレジンやガラス等でできた人工的仮想窩洞内での重合収縮の観察は実際の天然歯とは違う環境であるが、現在までは観察することができなかった重合収縮挙動を視覚的に観察、解析することに成功した本研究の臨床的に意義は大きいと考えられる。
|