研究課題/領域番号 |
23792165
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
保坂 啓一 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80451946)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 接着破壊 / 象牙質 / 動的解析 |
研究概要 |
本研究における主テーマは、接着界面の破壊を動的解析することにより接着の評価を行うことである。一般に生体材料である歯質接着性材料の接着性は、接着試験においてどれだけの応力によりその接着界面が破壊されるか、すなわち接着強さ値による比較によって従来より評価されてきた。しかし接着性材料の開発・発達が進み多くの材料は高い接着強さを示しており、接着強さの寡多による評価だけでなく、接着性材料と生態である歯質がどのように接着し、どのように破壊されるかということを考えなければならない。本年度は、マイクロテンサイル法における引張り応力による破断前後のレジン-象牙質接着界面の破断する瞬間の接着界面をさまざまな設定で高倍率・高速度撮影を行い接着界面の詳細な動的観察を行った。その結果、動的観察に必要な一定の条件が判明し、一瞬の接着破壊の動的観察が可能であることがわかった。研究成果は今後データ解析を行い発表予定である。今後、様々な接着性材料を用いてデータを蓄積し、コンピュータによる動きのグラフ化と数値化により接着破壊における接着界面の形態変化を超スローモーションで3 次元的に構築することが目標である。また、本年度は無溶媒ワンステップ接着性能について検討した。その結果、無溶媒接着システムを用いた場合、過度に象牙質を乾燥し、象牙質面から水分を除去すると接着性能が低下する一方で象牙質面の過度の湿潤状態もまた接着性能を低下することがわかり、適度な湿潤状態を維持することが重要であることが判明し、学会発表・論文発表(in press)を行った。疎水性接着性レジン用いた場合、耐久性が向上することが期待されており、無溶媒ワンステップ接着システムの応用は、経時的に安定した機械的性質を持ちレジン―象牙質接着の耐久性を向上させるものと今後期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロテンサイル法における引張り応力による破断前後のレジン-象牙質接着界面の破断する瞬間の接着界面をさまざまな設定で高倍率・高速度撮影を行い接着界面の詳細な動的観察を行い、動的観察に必要なある条件で動的観察が可能であることがわかった。また無溶媒ワンステップ接着性能について検討し、被着体象牙質の適度な湿潤状態と接着性能の関係を検討できた。
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今後の研究の推進方策 |
疎水性接着性レジン用いた場合、耐久性が向上することが期待されており、無溶媒ワンステップ接着システムの応用について更なる検討を行う。疎水性接着性レジンの機械的強度が接着破壊に及ぼす効果、疎水性と機械的強度の関係について明らかにしていく。接着破壊の動的解析について、様々な接着性レジンを用いてデータを蓄積し、コンピュータによる動きのグラフ化と数値化により接着破壊における接着界面の形態変化を超スローモーションで3 次元的に構築していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
高速度高倍率ハイスピードカメラの撮影費用、接着性材料代、実験機器の購入費用。ならびに学会発表、論文発表に関わる費用に使用予定である。
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