研究課題
接着界面の物理的な破壊メカニズムの解明は接着歯学研究における興味深いテーマの一つである。接着破壊の詳細な動的観察はこれまでされてこなかった。本年度は2 ステップセルフエッチングシステムとエタノールウエットボンディング法を用いた2 ステップトータルエッチングシステムの微小引張り接着試験中のレジン―象牙質接着界面で起こる接着破壊現象を超高速度撮影技術によって可視化し、破壊様相を比較検討した。最高撮影速度は超高速と言える600,000 fpsで実験が行われ、接着破壊の撮影に成功した。得られた連続フレーム画像についてカメラコントロールソフトウェア上で接着界面の破壊の瞬間のスロースピード再生を行い亀裂の発生・進展,および亀裂場所について詳細に検討を行った結果、微小引張接着試験中に接着界面において起こった亀裂の発生と進展,開口,および微小破片の飛散などの超高速度破壊現象が観察された。2 ステップセルフエッチングシステム群の微小引張接着強さは,61.4 MPa,エタノールウエットボンディング法を用いた2 ステップトータルエッチングシステム群は68.7 MPa であり両群間の接着強度に統計学的有意差は認められなかったが,亀裂の発生位置は両群間で明らかな違いが認められ,両者の接着メカニズムおよび接着破壊メカニズムが異なることが示唆された。本研究で用いた超高速度撮影技術を用いれば、更なる接着破壊メカニズムの解明や新しい接着技法・接着材開発に有用であると考えられ、今後更なる研究が期待される。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
Dent Mater J.
巻: 32 ページ: 420-424