研究概要 |
本研究は、硬組織形成細胞の分化誘導や象牙質石灰化への関与が知られる各種非コラーゲンタンパクに着目し、ラット臼歯への半導体レーザー照射後のこれらの挙動を遺伝子,タンパクレベルで経時的に検索することにより、硬組織形成誘導への関与の実態の解明を図ろうとするものである。 次の結果を得ることが出来た。osteopontin (OPN), osteonectin (ON), osteocalcin (OC), dentin sialophosphoprotein (DSPP), dentin matrix protein 1 (DMP-1), および bone sialoprotein (BSP)のmRNA発現レベルは、照射後上昇し、3日後にピークを示し、その後次第に低下した。14日後にはmRNA発現レベルは、コントロールと同等にまで低下した。組織学的には、1-3日後では象牙芽細胞を含む歯髄細胞の壊死が照射部を中心に拡大し、Hsp-25は、壊死層周囲に強陽性反応を示した。5日後では同部に細胞の再分布が観察され、7日後にはHSP-25陽性の象牙芽細胞様細胞と少量の新生硬組織が認められた。14日後では、第三象牙質または骨様象牙質が歯髄腔内で多量に形成されるとともに、OPN陽性反応が新生硬組織の細管に沿って、またDMP-1陽性反応が原生象牙質と新生硬組織の境界部近傍に認められた。 本研究は、半導体レーザー照射された象牙質/歯髄複合体における各種非コラーゲンタンパクの遺伝子発現解析を行い、レーザー照射後の新生硬組織形成過程について,形成誘導機構の新知見を得ることが出来た。
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