【本年度成果概要】 これまでに開発を進めてきたナタデココシートを用い、紙縒法によるナタデココポイントの作製法を確立した。続いてナタデココポイントの強度、吸水膨張性、薬剤徐放性などの材料学的評価を行った。さらに、当初H24年度に計画していた生体安全性評価に着手し、ラット皮下・筋肉中・骨膜下ヘナタデココポイントを埋入し、埋入後3・7日後、4・8週後の組織評価を行った。その結果、ナタデココポイントは現行治療材であるペーパーポイントに比し、しなやかさに優れ、吸水力・水分保持力が高い材料であるとともに、生体に対しても安全な材料であることが明らかになった。 【意義】 根管治療は再発の多い困難な治療であるにも関わらず、治療行程で使用するペーパーポイントに代わる材料についてはこれまで検討されてこなかった。本研究ではそこに焦点を当て、新規材料の開発を試み、根管治療材として優れた特性を有するナタデココポイントを開発することができた。その材料学的特性から、ナタデココポイントは根管治療の成功率を向上させる可能性があると考えられる。今後、臨床応用、製品化を見据えて研究を進めて行く上で、本研究はその礎となる成果をおさめることができたと考えている。 【重要性】 本研究は、現行治療材と同種でありながら異なる材料学的特性を持つバクテリアルセルロース(ナタデココ)に着目して歯科根管治療材としての適用性を検討した、渉猟しうる限り世界で初めての研究である。今後論文発表を行い、本材料を歯科口腔外科領域で紹介することで、バクテリアルセルロースの適用可能性を広げることができるのではないかと考えている。
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