研究課題/領域番号 |
23792175
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
西谷 佳浩 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (60325123)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 象牙質コラーゲン / 象牙質 / セルフエッチングアドヒーシブ / 架橋剤 / コラーゲン分解酵素 |
研究概要 |
本年度は研究に用いるEDC配合接着システムを設計し,初期の象牙質接着性およびMMP活性を抑制するEDCの適正濃度の検討を行った. 象牙質試料については,エナメル質とセメント質を完全に除去した後に液体窒素にて凍結後,凍結粉砕機にて球径180μm以下の象牙質試料を得た. 光硬化型象牙質接着システムについては,4-METAを接着性モノマーとして,UDMA/水/アセトンで構成される光硬化型レジンとし,光重合開始剤としてカンファーキノンおよびアミンを添加した.さらに0.1~3.0% EDCおよび0.001~0.5% CHXを配合したものを本実験で使用した. 健全象牙質に対して上記の接着システムにて処理してコンポジットレジンにて接着した試料を水中保管24時間経過後の象牙質接着強さを行った結果,0.5%までの配合ではCHXは初期接着強さに影響しなかった.一方で,EDCの添加は,濃度依存性に接着強さが低下する傾向にあり,3.0%の添加では無添加のコントロールに対して有意に低い値であった. 象牙質MMP活性については,TypeICollagenase Assay KITを用いて,MMP活性値を測定した.その結果,EDC配合量の増加に伴いMMP活性は抑制される傾向を認め,3.0%配合の場合に最も高い抑制効果を認めた.クロルヘキシジンの配合により初期のMMP活性に影響はなかった.1.0% EDCおよび0.5% クロルヘキシジンを同時に配合した場合には,比較的高いMMP抑制効果が得られることから,さらにEDCとクロルヘキシジンの添加量について詳細に検討する必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に行う研究については,計画通りにセルフエッチングアドヒーシブを試作し,EDCおよびクロルヘキシジンを配合した場合の接着強さとMMP活性について測定を行っており,おおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
今後も計画通りに研究を引き続き行い,長期水中浸漬後の接着強さおよびMMP活性の結果から,象牙質接着界面の劣化を抑制する接着システムの設計を行う予定である.得られた結果は国内外の学会などを通じて広く情報発信する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費については,Assay KITを含む試薬,ガラス製品,プラスチック製品などの消耗品の購入および情報収集や成果発表のための旅費として使用する予定である.
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