研究課題/領域番号 |
23792178
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
達山 祥子 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (70347095)
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キーワード | 象牙芽細胞 / 歯髄細胞 / VR-1 / TRPM8 / 温度感受性イオンチャンネル / 象牙質歯髄複合体 |
研究概要 |
象牙質知覚過敏症において、動水力学説(歯の根面の露出等により、象牙細管の入り口が閉口し、外部刺激により象牙細管内溶液が動くことにより、歯髄や内層象牙質に存在する自由神経終末を機械的に刺激し、痛みを誘導する説)が現在最も広く受け入れられているが、この説だけでは十分に説明できない部分も残っている。最近では、象牙芽細胞自身が感覚受容体としての機能を持ち、外部からの刺激を痛覚神経線維に伝えるという象牙芽細胞受容器説が徐々に研究されつつある。求心性の感覚神経には6つの温度感受性イオンチャンネルがあり、それらは異なる温度帯を閾値としている。熱刺激を感受するものでは VR-1(>43℃)、冷刺激を感受するものではTRPM8(<25℃)があげられる。われわれは、これまでに1)VR-1がヒト歯随細胞において発現すること、2)温熱刺激によりVR-1が活性化し、歯髄炎を増悪する可能性があること、3)TRPM8が歯随細胞、象牙芽細胞に発現すること、4)ラット歯随の横断薄切標本におけるTRPM8の発現を確認してきた。今年度においては、TRPM8の機能についてさらなる検討を加えるために、擬似的な冷刺激メントールで歯随細胞、象牙芽細胞を刺激し細胞の反応を解析した。結果、熱等による刺激を発現し細胞を保護するとされるタンパク、ヒートショック蛋白(HSP70、HSP27)の発現の増加は特に認められなかった。温度感受性イオンチャンネル(VR-1およびTRPM8)はヒト歯随細胞および象牙芽細胞において発現しており、歯における温度刺激の引き起こす痛み、知覚過敏症において何らかの役割を担っている可能性があるが、そのメカニズムはまだ分かっていない。今度さらにこれらの機能について検討していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画にある歯髄・象牙芽細胞複合体における侵害刺激(温度・浸透圧・機械的ストレス)の受容体の発現を解析するために、 RT-PCRにて各種受容体の発現を検索を行うところまで実験を進めているが、H25年2月より産休等により実験を中断しており、 免疫染色や機能解析などの実験まで進むことができていない。
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今後の研究の推進方策 |
育児休暇終了次第、当初予定していた免疫染色によるタンパクの発現の解析、 カルシウム流入試験によるチャネルの機能の解析などを進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年02月27日~平成26年06月30日において、産休および育児休暇であるため、25年度は研究を中断してたため。 26年7月1日より復帰し、研究を再開するので予定の実験計画に従って実験を行うに当たり、主に実験器具、試薬などの消耗品に使用する予定である。
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