研究課題/領域番号 |
23792188
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
池田 昌彦 日本大学, 歯学部, 非常勤医員 (30508594)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | OCT / 齲蝕除去 / 歯質厚径測定 / 非侵襲画像診断 |
研究概要 |
齲蝕象牙質の除去へのOCTの効果的な応用法について検討した。すなわち,齲蝕象牙質除去にともなう,OCTイメージ像の変化を観察すとともに,齲蝕検知液の染色性と比較することで,齲蝕象牙質外層および内層の鑑別が可能か否か検討した。さらに,齲蝕象牙質除去において重要となる歯髄腔までの距離の測定が可能か検討を加えた。 その結果,咬合面齲蝕を有する大臼歯に対して,齲蝕検知液を指標として齲蝕除去を行なった場合,齲窩の開拡を行なった直後の,軟化象牙質が齲蝕検知液で濃染している場合,表層でシグナルが強く表れるものの,齲蝕円錐の形態は明瞭には観察できず,齲蝕の範囲を特定することは困難であったが,軟化象牙質を除去するにつれて断層像は明瞭となり,欠損部直下に齲蝕の影響を受けた象牙質が層状に観察された。一方,前歯唇側エナメル質を異なる深さまで研削した条件において,OCTで得られたイメージ像から残存エナメル質厚径の測定が可能であり,これはレーザ顕微鏡による測定値と近似していた。また,表面性状の違いが測定値に及ぼす影響は少なかった。しかし,摩耗や咬耗あるいは亀裂などが観察され,比較的高齢者のものと思われる歯牙を測定対象とした場合,エナメル-象牙質境部の画像が不明瞭となり,残存歯質厚径の測定が困難となる傾向を示した。前歯唇側象牙質を異なる深さまで研削した場合,研削深さが浅いあるいは中程度の場合,比較的表層での断層像の観察は可能であるものの,残存象牙質と歯髄腔を識別することは困難であった。しかし,研削深さが深くなるにしたがって,残存象牙質と歯髄腔を識別することが可能となったことから,臨床的には有用であることが示された。 以上の結果から,OCTのプローブ形状を変更するなどの改良によって,残存歯質厚径の測定に応用することが可能であり,その臨床有用性が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H23年度の研究目的においては,使用する抜去歯の入手が困難であったものの,申請者の所属する研究室の科学研究費への応募資格のない研究者および大学院生が協力者となり,OCTの測定をはじめとする研究のサポートを担ったため,おおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
H23年度に得られた基礎的データーを踏まえ,実際の口腔内においてOCT観察を行うことで,齲蝕除去時の歯髄腔までの距離をチェアーサイドで測定,得られた画像をX線撮影および口腔内観察用カメラと比較,検討し相互補完的に考察する。これによって,口腔内での使用における新たな問題点などを抽出する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
H24年度は,実際の口腔内においてOCT観察を行うことから,これらの測定に必要な消耗品および口腔内での観察の際に用いるラバーダム防湿およびPMTC用ペーストが必要であり,相当額である。また,その他の研究費は本研究成果の学術会議での発表および専門誌における論文の校閲および投稿に関わる費用である。
|