研究課題
ラット根尖病変モデルを用いて、免疫組織化学的に解析を行った結果、エムドゲイン(EMD)は根尖部において硬組織形成の誘導因子の1つとなる可能性が示唆された。次にラット頭蓋骨骨欠損モデルを用いて、大きな骨欠損でのEMDの骨組織形成促進作用について検証するともに、生体活性化ガラス(BAG)を足場として併用することで、EMDとBAG併用療法の硬組織形成能に及ぼす影響について評価した。新生骨形成量については、まず0日目にマイクロCTにて骨欠損部位を撮影し、画像診断ソフトにて直径5mm、深さ0.5mmの骨欠損が形成されていることを確認した。その後、術後7日目、14日目、28日目にそれぞれ撮影を行い欠損部の深さを計測し、EMD群、BAG群、EMD+BAG群、および何も貼薬していないコントロール群とを比較することで、組織定量的に評価した。また、それぞれラットを屠殺後、試料を作成し、HE染色およびトルイジンブルー染色およびALP染色を用いて組織学的に観察した。その結果、欠損部の深さは28日目において、コントロール群と比較して、EMD群、BAG群、EMD+BAG群ともに有意に低い値を示した。また、EMD群と比較してもBAG群およびEMD+BAG群は共に有意に低い値を示した。しかしながら、BAG群とEMD+BAG群との間に有意差は認められなかった。また、コントロール群では28日後においても新生骨はほとんど認められなかった。一方、EMD群では欠損部周辺にALP陽性を示す骨芽細胞が多数観察され、わずかながら新生骨の形成が認められた。また、BAG群およびEMD+BAG群ではBAG粒子の周辺に、多孔性の幼若な新生骨の形成が認められ、特にEMD+BAG群で顕著な新生骨の形成が認められた。以上のことからEMDとBAGを併用することによって、硬組織再生が促進される可能性が示唆された。
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日本歯内療法学会雑誌
巻: 34巻 ページ: 22-28