研究概要 |
本研究は、パラサイト(微生物)の付着制御・増殖抑制ならびに材料の抗劣化性という機能を付与した衛生的で、より生体安全性の高い新しい義歯床用材料の開発に資することを目的とし、義歯床用材料として頻用される歯科用アクリルレジンの表面及び内部に存在する特有のバイオフィルム微生物叢の定量的・定性的解析を行った。東北大学病院歯科に通院し、本研究の趣旨を説明し同意の得られた患者を対象とした。義歯新生等により、不要になった歯科用アクリルレジン製の義歯床を回収した。実際に口腔内で使用したアクリルレジン床を無菌的に割断後、申請者ら独自の試料採集方法により、アクリルレジン床の内部より試料を採取した。その結果、13床中5床(38.5%)から1-4種類の生存した細菌が検出された。これらの細菌密度は4.0 x 102-1.8 x 105個/mg(レジン削片)であった。これらの結果より、義歯内部に細菌が生存し、また義歯内部は複数種の細菌が生息可能な環境であることが示唆された。これまでの成果は、Takeuchi Y, Nakajo K, Sato T, Koyama S, Sasaki K, Takahashi N:Quantification and identification of bacteria in acrylic resin denture bases and dento-maxillary obturator-prostheses. Am J Dent, in press, 2012. (査読あり)にて論文発表を行った。
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