研究課題
本研究は、長期間使用した義歯および顎義歯オブチュレーター内部に存在する細菌を検出し、その量や種類について検討する事を目的とした。これまでに、長期間使用したアクリルレジン製義歯の内部には数種類の細菌が生存していることが明らかとなった。また、同定された細菌種より、口腔由来の細菌種であることが推測された。そこで、アクリルレジン床のみならず、顎義歯オブチュレーター内部に存在する細菌についても同様に検出し、その量や種類について検討した。その結果、アクリルレジン製の中空型オブチュレータ内部には数種類の細菌が生息することが明らかになった。また、オブチュレーター内部の液体の有無に分けた場合、液体が存在する方が液体が存在しないものより細菌の検出頻度が高く、さらに検出された細菌の種類が多かった。これらの結果より、アクリルレジン製義歯および顎義歯オブチュレーターの内部には細菌が存在し、それを長期間の使用することは、誤嚥性肺炎などの呼吸器感染症を引き起こす原因になる可能性が示唆された。しかし、これらの結果は培養法により検出可能な細菌のみを同定しており、実際には培養法により検出不可能な細菌種が多数存在すると考えられる。そこで、単一菌株の分離、培養等の過程を経ずに、採集した試料から直接メタゲノムDNA取り出し解析するメタゲノム解析を用いて、培養困難な細菌種の網羅的な同定を行うを検討している。これにより、義歯および顎義歯オブチュレーター内部環境中に存在する細菌叢が解明できるものと期待される。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
International Journal of Dentistry
巻: なし ページ: -
10.1155/2012/609689.
10.1155/2012/172935.