研究概要 |
本研究の目的は,患者に異なる硬さの軟質裏装材で裏装を行った下顎全部床義歯を装着し,咀嚼能力評価,患者満足度について調査を行い,軟質裏装材の硬さの違いによる治療効果を明らかにすることである.上下レジン床総義歯を問題なく使用中の患者に対し,使用中の下顎義歯の複製義歯を作製し,2種類の硬さのシリコーン系軟質裏装材を塗布した試験用義歯を作製し,臨床試験を行った.被験者には毎日試験義歯を使用してもらい,1週間後に機能評価を行った.評価項目は主観的咀嚼能力評価,客観的咀嚼能力評価,義歯に対する主観的評価,口腔関連QOL評価および義歯のし好調査とした.研究の結果,軟質裏装材の硬さによって,患者満足度や咀嚼能力に変化が認められた.このことから,患者の条件によって軟質裏装材の最適な硬さが存在する可能性があることが示唆された.
|