研究課題/領域番号 |
23792212
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
中村 輝保 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助教 (80396994)
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キーワード | 歯科治療 / リスクマネージメント / 心理的ストレス |
研究概要 |
現在の病院歯科におけるリスクマネージメントは、実際に起こった医療事故のみを対象に調査し、解析されている。しかし、日常臨床上のヒヤリハット等の潜在的要素や、その原因となる心理的ストレスとの関連性まで、考慮されていないためリスクマネージメントとしては不十分な面もある。本研究は、術者の心理的ストレスをモニタリングする装置を開発し、医療事故に繋がるヒヤリハットとの関連性を明らかにし、新たなリスクマネージメントを提言することを目的としている。過去の研究により心理的ストレスの検出として手指の精神性発汗が有効であることがわかっている。そのため、術者の治療時の心理的ストレス測定に手指の発汗による湿度変化の測定が有効である点に着目した。術者は治療用グローブを装着するため、すでに発汗による湿度変化を測定するための密閉空間となる。計画当初はグローブ内に湿度センサーを内蔵させ測定しようと試みていた。湿度センサーには既製品を用いることを計画していたが、今回新たに開発された皮膚上の湿度変化を測定する装置を採用することにした。その採用理由はグローブ内にセンサーを入れる必要がないため歯科診療時に手指の動きの妨げになることが少なくなると考えたからである。ただし、この装置について信頼性・妥当性の検証はなされていないため、検証の必要がある。当該年度は、新たな装置の信頼性・妥当性の検証を目的に測定を行ってきた。しかし、開発した装置はモニタリング機能が不十分であるため、心電図や呼吸数を測定しモニタリング可能な既存の製品との比較を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究初年度の計画目標である無侵襲・非拘束計測が可能なモニタリングシステムを製作する。これの測定に関しては概ね達成されている。しかし前述したように測定と同時にモニタリングすることが困難となっているため、やや遅れていると判断した。 また、予定していた被験者の測定に関してはおおむね達成されていると想われる。 しかし、全体としては、やや遅れている状況であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
計画当初は発汗を測定する方法として、グローブ内に湿度センサーを内蔵させ測定しようと試みていた。湿度センサーにはスキノス社製の既製品を用いることを計画していたが、新たに開発された皮膚上の湿度変化を測定する装置を採用することにした。その採用理由はグローブ内にセンサーを入れる必要がないため歯科診療時に手指の動きの妨げになることが少なくなると考えたからである。ただし、この装置について信頼性・妥当性の検証はなされていないため、検証の必要がある。また、心拍数の測定についても圧電素子を応用しセンサー使用する予定であるが、装置の組み上げ及び、その信頼性・妥当性の検証も必要である。 以上のことを踏まえた上で、測定と同時にモニタリング可能なシステムの構築を考え、必要ならば既存の製品で代用できないかを検討すつ予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在、以下の2点のどちらかの研究費の使用計画を検討中である。 ①上記の推進方法に従い、モニタリングシステムの構築のために研究費を使用する。具体的には皮膚上の湿度変化を測定する装置、心拍数を測定する装置、そしてそれらのデータをノートPC上で同時に測定できるソフトウエアや解析、及び統計に用いるソフトウエアを購入予定である。 ②モニタリング機能を含めたストレス計測装置の構築が困難であった場合、既存の製品を用いて術者の心理的ストレスの測定ができないかを検討中である。こちらの方法が適当であった場合、測定機器の購入を検討する。
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