研究課題/領域番号 |
23792217
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
奥野 健太郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50420451)
|
キーワード | 閉塞性睡眠時無呼吸症候群 / 睡眠呼吸障害 / 口腔内装置 / 経鼻的持続陽圧呼吸療法 |
研究概要 |
閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の治療において、口腔内装置(OA)の適応症は明らかにされていない。OAの予知性の低さが、治療法としてOAを選択しづらい一因となっていることが考えられる。本研究では、内視鏡検査所見とCPAP至適圧を用いた口腔内装置治療の効果予測法を確立した。 PSG検査にて無呼吸低呼吸指数(AHI)>20/hのOSASと診断された60名を対象とし、内視鏡検査にて下顎を前方移動させたときの鼻咽腔、下咽頭腔の前方向、左右方向の開大の有無と、AHI減少率との関係を検討した。AHIの減少率は、鼻咽腔の左右方向の開大有り群、下咽頭腔の前方向の開大有り群、下咽頭腔の左右方向の開大有り群でAHI減少率が有意に高かった。OAの治療成功(AHI with OA<10/h, AHI減少率>50%)率は、鼻咽腔の左右方向、下咽頭腔の前方向、下咽頭腔の左右方向、全てが開大した症例では73.2%であり、いずれか一つが開大しなかった症例では10.5%、二つ以上開大しなかった症例では0%であった。以上から、内視鏡検査にて、下顎前方移動時に鼻咽腔の左右方向、下咽頭腔の前方向、下咽頭腔の左右方向の全てにおいて開大が認められる症例では、OAによる治療効果が高い可能性が伺われた。 また、CPAP治療とOA治療の両方を行っている患者15名に対し、OA治療によるAHI減少率とCPAP至適圧との関係を検討した結果、有意な相関が認められ、CPAP至適圧が高い患者では、OA治療の効果が低い可能性が示された。 本研究から、内視鏡検査所見とCPAP至適圧からOAの適応症が診断できる可能性が示唆された。口腔内装置治療の適応症を明確することにより,医科・歯科の連携医療をスムーズに行うことができ,国内500万人と推定される睡眠時無呼吸症候群患者に対して適切な医療の提供が可能となる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
内視鏡画像データ、PSG検査結果データの追加解析が必要となったため、現在解析中である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、更に被験者数を増やし、睡眠時無呼吸症の重症度別の検討を行うことと、内視鏡画像の定性評価の方法について検討する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
内視鏡画像データ、PSG検査結果データの追加解析のための解析費用などに研究費を使用する予定である。
|