研究概要 |
終夜睡眠ポリソムノグラフィー検査(PSG検査)にて無呼吸低呼吸指数(AHI)>20/hのOSASと診断された60名を対象として以下の方法で実験を行った。各症例について、覚醒時、仰臥位の状態で内視鏡を挿入し、下顎を前方移動させたときの鼻咽腔、下咽頭腔の前方向、左右方向の開大の有無を評価した。各症例についてOAを作製し、内視鏡所見とOA治療前後のPSG検査結果との関係を検討した。結果、AHIの減少率は、鼻咽腔の前方向の開大有り群:72.4%、無し群:64.4%であり有意差を認めず、左右方向の開大有り群:70.5%、無し群:44.7%と、開大群でAHI減少率が有意に高かった。下咽頭腔の前方向の開大有り群:69.6%、無し群:51.0%、左右方向の開大有り群:72.9%、無し群45.9%であり、それぞれ開大群でAHI減少率が有意に高かった。OAの治療成功(AHI with OA<10/h, AHI減少率>50%)率は、鼻咽腔の左右方向、下咽頭腔の前方向、下咽頭腔の左右方向、全てが開大した症例では73.2%であり、いずれか一つが開大しなかった症例では10.5%、二つ以上開大しなかった症例では0%であった。内視鏡検査にて、下顎前方移動時に鼻咽腔の左右方向、下咽頭腔の前方向、下咽頭腔の左右方向の全てにおいて開大が認められる症例では、OAによる治療効果が高いことが示唆された。 また、OA装着によるAHIの減少率が50%以上であった症例を成功群、減少率が50%未満であった症例を非成功群と定義すると、CPAP至適圧は成功群で6.3±2.6(4.0~11.0)cmH2O、非成功群で10.7±0.6 (10.0~11.0)cmH2Oであり、成功群の方が有意に低かった(p<0.01)。CPAP至適圧が低い症例ではOAによる治療効果が高いことが示された。 以上のことから、OAの適応症を診断するうえで内視鏡画像所見とCPAP至適圧が指標の一つになることが考えられた。
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