研究概要 |
口腔腫瘍と診断され、手術前に当科を受診した患者に対して、口腔内診査および口腔内写真撮影、機能評価(検査用グミゼリーを用いた咀嚼能率測定・デンタルプレスケールを用いた咬合力測定・30mlの水を用いた水のみテスト)、口腔周囲組織(舌・口唇・軟口蓋)の可動性の検査、構音検査、アンケート調査(EORTC C30,H&N35,摂取食品)を実施した。得られた検査結果と患者情報をチェアサイドでデータベースに登録し、さらに術後の経過を追って、術後1か月、3か月、6か月、12か月の時点で同様の評価を行いデータを登録した。口腔腫瘍の術後の病態は多種多様であり、部位による特殊性が予測される。そのため、切除部位を「下顎」「舌」「口底」の3群に分け、それぞれ30名集まるまで収集する予定としているが、現時点では順調にデータの集積は進んでいるものの、術後12か月まですべてのデータはまだ目標数は揃っていない。現時点で集まったデータをもとに、EORTC H&N35を用いたQOLの評価結果と口腔機能との関連についての分析を行い、QOLスコアの経時的変化は、QOLの項目と症例によってばらつきが認められたが、術後1か月と比較した場合には、3か月後と12か月後の「嚥下スコア」、12か月後の「疼痛スコア」「社会的コンタクトスコア」の項目について改善する傾向が認められたとの結果を得、これらを学会にて発表した。また、データベースを用いたシステムにより、データの漏えいや紛失は現在のところ起こっていない。
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