研究概要 |
インプラント骨界面において組織学的に観察される骨接触率の低下に対して細胞外蛋白による結合が発現・増強し,これによりオッセオインテグレーションの機械的特性の低下を防止しているという仮説を立証することを目的とする.そこで①ラットの脛骨に埋入したインプラントに与えたメカニカルストレス負荷によって骨接触率が適切な段階的変化を生じる負荷時期を決定すること,②その骨接触率の段階的変化が細胞外蛋白の発現時期と局在に変化を及ぼすかについて,③細胞外蛋白の発現様式について,インプラント周囲骨を含めた組織切片を三次元構築しその機能を解析し,空間的な局在性を検索しすることを目的としている.さらに,インプラント周囲骨における細胞外蛋白の発現局在と骨接触状態およびオッセオインテグレーションの機械的特性の三者の関連について検討を加え,骨接触率の低下に対する影響を補正するために細胞外蛋白による結合が発現・増強し,オッセオインテグレーションの機械的特性を維持しているとの仮説について検討を行うことを目的とした. 実験動物には15週齢のWistar系雄性ラット(70匹)を用い,インプラントとして既製のチタンポストを用い,左右の脛骨近心側1/4の部位に外科用エンジンとツイストドリルを使用して埋入を行った.その後、インプラント体にメカニカルストレスを負荷し, オッセオインテグレーションの定量的評価をトルクゲージを用いたリバーストルクテストにて行った.現在,連続非脱灰標本および連続脱灰標本を作製し検討を行った. トルク値は, 対照群において埋入後の時間経過とともに有意に増加した. 実験群も類似した増加傾向が認められた. 埋入後の早い時期において, インプラント自体を回転させるとトルク値を上昇させる何らかの要因が働くが, 長期的にみるとその回転によるゆがみはトルク値に影響を与えないことが示唆された.
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