研究課題/領域番号 |
23792223
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
兒玉 直紀 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70534519)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 大脳皮質咀嚼野 / 唾液分泌 / 顎下腺 / 電気刺激 / ラット / 筋電図 |
研究概要 |
本研究は咀嚼運動により誘発される刺激唾液の分泌機序とその生理機能について電気生理学手法 を用いて調べ,大脳皮質咀嚼野などの咀嚼関連領域における脳機能調節メカニズムを神経生理学的に明らかにしようとするものである。さらに、大脳皮質に存在する咀嚼誘発領域と唾液分泌調節領域との関連を解明する。具体的な実験方法は下記の通りである。実験動物として,Wister 系雄性ラット(約 6~9 週齢,250~350g)を用いる。まず始めに顎運動を記録するためのマグネットをオトガイ部に取り付ける。次いで,顎二腹筋を同定した後,筋電図記録用の針電極を刺入する。また,顎下腺を同定した後,顕微鏡下にて顎下腺導管 を確認し,カニューレを導管内に挿入する。最後に,大脳皮質咀嚼野を刺激するための 針電極を挿入し,Stimulatorで刺激を行い顎運動を誘発することができることを確認する。ラットの大脳皮質咀嚼野には,連続電気刺激によって異なるパターンのリズミカルな顎運動を誘発する2つの領域が存在することがわかっているため,今回我々は,速いリズムで単純な上下方向の顎運動を誘発するA-area,側方および前後方向に複雑な顎運動を誘発するP-areaの電気刺激を行い唾液分泌量を測定した。その結果,速く単純な上下方向の顎運動を生じるA-areaの刺激では唾液分泌が生じなかったこと,複雑な臼磨様顎運動を生じるP-areaの刺激では唾液分泌が生じたことから,P-areaが咀嚼時に優位に作用している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大脳皮質咀嚼野の異なる部位を電気刺激することにより誘発される顎下腺唾液分泌量に著明な違いがあることを初めて実証できたため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度行った実験環境にて,1)安静時,2)大脳皮質咀嚼野刺激時,3)さらには大脳皮質咀嚼野刺激時の刺激部位,刺激頻度,刺激強度などを変えた時の唾液分泌量の変化を観察する。さらには,大脳皮質咀嚼野刺激部位の組織学的に検証するために,上記実験施行後に灌流固定を固定を行い,脳組織を摘出する予定である。ホルマリン固定後に,脳組織 をパラフィン包埋して 10μm の前頭断切片を作成し,Nissl 染色を行い大脳皮質咀嚼野周囲の組織を観察する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
・実験動物・筋電図ならびに唾液分泌量の測定,解析用のパーソナルコンピューター・研究結果を学術大会で発表する際の旅費などに用いる予定である。
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