研究課題/領域番号 |
23792225
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
沖 和広 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00346454)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 咬合感覚 / 筋電図 / 脳波 / 心理的ストレス |
研究概要 |
研究計画書に則って以下の研究を行った;【咬合感覚閾値記録】咬合力を検出するシステムはシート型感圧センサを用いることとし,本センサを後述するEEG信号記録装置に外部入力として接続し,EEGおよびEMG信号と同期記録できるようにした.咬合感覚閾値としては,自覚可能な最小咬合力とともに,下降系列の繰り返しによって自己調整した結果被験者自身が再現可能な咬合力も検討する予定である. 【感情喚起スライドIAPSがEEG信号に与える影響についての検討】6名の被験者の頭皮上に国際10-20法に従って,F3,F4,Fz,C3,C4,Czの位置に電極を貼付してEEG信号を導出した.EEG記録中は,IAPS提示の間を除いて安静,閉眼状態を維持させた.記録開始から5分経過後にIAPSを提示した.提示したIAPSスライドは,IAPSの感情価評定のうちNegative情動価が設定されている21枚のスライドとし,各スライドを30秒間提示した.IAPS提示終了直後に再び安静,閉眼を指示し,その後11分間EEG記録を行った.各部位のEEG信号のうちβ波を対象として解析を行った.解析時間は30秒間とし,解析開始点は,IAPS提示1分前,直後,終了5分後および10分後の4時点とした.各時点から30秒間のβ波のパワー値を各部位において算出し,Friedman検定によって時系列変化の解析を行った.解析の結果,F3でのβ波パワー値は,開始前108.48μV^2,IAPS直後196.87μV^2,IAPS終了5分後116.71μV^2,IAPS終了10分後99.30μV^2を示し,時系列データ間の有意差がみられた(p=0.035<0.05).F3以外の各点においても,IAPS直後のβ波エネルギーが増加する傾向を示したが,統計学的有意差はみられなかった.以上の結果を勘案して,本実験のプロトコールを最終決定することとした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
咬合感覚閾値計測システムは完成したが,計測対象となる現象の再現性に検討の余地がある.当初の研究計画では,咬合感覚閾値として,自覚しうる最小の咬合力と定義していた.このことに関して数名を対象に問診を行ったところ,再現性に疑問が生じる回答が得られた.したがって,当初予定していた咬合感覚閾値を計測するとともに,外部基準に従った咬合力の記録を新たに加えることとした.具体的には,計測用センサを臼歯部に介在させた後に,強めの噛みしめを行わせ,モニター上の出力値を視覚的に確認しつつ徐々に発揮咬合力を低下させる下降系列調節を繰り返し行わせることによって,設定した強さの咬合力を発揮させるようにすることとした.咬合力の設定値は咬筋筋電図記録を参照しつつ決定予定である.感情喚起スライドIAPSが心理的ストレスとして用いることの有用性については確認できたとともに,実験プロトコールの時間的手順の根拠を得ることが出来た.
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今後の研究の推進方策 |
現在までの達成度の内容を踏まえて,予定通り本実験を行う予定である.ただし,記録する信号における個体間変動が大きいことが見込まれるため,予定被験者数では統計学的に有効な検出力が得られない可能性がある.研究途中に適宜結果の統計解析を行い,被験者数が不足する場合には随時追加して本実験を遂行する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画書の通り,申請研究遂行のための消耗品,成果発表のための国内外旅費および成果投稿料に使用する予定である.
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