研究課題/領域番号 |
23792226
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
黒住 明正 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20599790)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 咬合支持 |
研究概要 |
我々は,過去に老齢Wistar系ラットの上顎臼歯抜歯後に実験用義歯を装着した咬合回復モデルを製作し行動学的・組織学的評価を行い,臼歯抜歯後の咬合回復が実験動物の空間記憶能を改善し一次記憶を貯蔵すると考えられる海馬の錐体細胞の退行性変化を抑制することを明らかにした。しかし,近年,実験動物の咬合不全が慢性ストレスとなり中枢神経系に悪影響を及ぼすことが報告されてきており,我々の製作した実験用義歯が実験動物の慢性ストレッサ―となる可能性を検証する必要性に迫られた。 そこで本研究では,上記の咬合回復モデルを使用して8方向放射状迷路課題を用いた空間記憶能の行動学的評価と海馬錐体細胞の組織学的評価を改めて行う。同時に実験動物のストレス値を血中コルチコステロン濃度を計測することで,臼歯抜歯後の実験用義歯装着による咬合回復と慢性ストレスが実験動物の高次脳機能に与える影響について明らかにしたい。 現在の進捗状況を記す。60匹のWistar系ラットを対照群・臼歯抜歯群・義歯装着群の3群に分け義歯装着群には実験用義歯を装着し,3群のストレス値を計測することを目的として,ラット頸静脈から採血を行い,迷路実験前の血中コルチコステロン濃度を計測した。続いて行動学的評価には,8方向放射状迷路を用い,馴化試行を行った後,空間記憶能を評価するための迷路試行を開始した。各群には50週齢時から20日間,1日1回の迷路試行を行わせCCDカメラに接続したパソコンに記録した。 最終試行の後,実験後の血中コルチコステロン濃度を計測するために採血を行った。その後,ラットをペントバルビタールにて麻酔し,4%パラホルムアルデヒド含有リン酸緩衝液(pH7.4)を用いて通法により灌流固定を行った。 今後、実験前後の血中コルチコステロン濃度と迷路課題において得られたデータの解析と脳組織切片の作成・染色を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験に使用するラットが高齢の咬合回復モデルであるため,実験動物の上顎臼歯抜歯とその後に実験用義歯の装着を行い,実験開始予定の週齢までラットを老化させる必要性がある。それ故に実験開始までの準備に時間がかかったが,当初の計画の時点から予想できていた事態であり,実際に実験は終了している。今後は実験計画の予定通り得られた実験データの解析に残りの期間を費やす予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の通り順調に進んできているが,今後,ラット脳海馬組織切片の組織学的評価を行う上で海馬錐体細胞濃度を計測していく予定である。本研究の目的である実験用義歯の装着による慢性ストレスが高次脳機能に与える影響について考察するために,迷路実験前後の血中コルチコステロン濃度と迷路課題の結果をふまえてさらなる組織学的評価を行う必要性に迫られる可能性があり、実験データの解析を急ぎたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は,得られた実験データの解析とその成果の発信を予定している。脳海馬組織切片の染色等に必要な物品や消耗品が必要となってくることが予想される。また、我々が所属する日本補綴歯科学会,日本老年歯学会などの国内学会において発表するとともに,所属学会雑誌あるいは商業誌を通して広く国民に発信するための経費に研究費を使用する予定である。
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