研究課題/領域番号 |
23792227
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
峯 篤史 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60379758)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 接着ブリッジ / ブリッジ / 長期予後調査 / 臨床データ蓄積システム |
研究概要 |
接着ブリッジならびに従来型ブリッジを装着した患者の追跡予後調査を行うに先だち、個々のブリッジ装着時に記載されたブリッジカルテ(接着ブリッジには12個、従来型ブリッジには11個のチェック項目が設定)を確認し、倫理委員会へ許可申請を行うに際して必要な(1)母集団の選定、(2)キャリブレーション法の確定、(3)結果因子・予測因子の決定を行った。ブリッジカルテは昭和56年から平成5年まで存在し、平成元年度分のカルテ数は従来型ブリッジならびにクラウンが515枚、接着ブリッジカルテが119枚であった。なお、接着ブリッジカルテに関しては、平成2年度分は141枚、平成3年度分は122枚であった。 続いて、平成元年度の従来型ブリッジならびにクラウンカルテの内略を確認した。従来型ブリッジが記載されているクラウン・ブリッジカルテのチェック項目の印数は、FCKが229個、4/5冠が19個、HJKが8個、メタルボンド冠が60、RFCrが75個、オールセラミック冠が4個、オールメタルのブリッジが61個、陶材焼付冠ブリッジが21個、RFCrのブリッジが29個、オールセラミックのBrが1個であった。接着ブリッジカルテの内略は、接着ブリッジが42個、コンビネーションブリッジが48個、接着スプリントが20個であり、接着ブリッジの形態はA5が28個、P4が35個であった。 これらの現状から接着ブリッジおよび従来型ブリッジともに3ユニットブリッジの予後を追跡することを決定し、トラブルの種類としては、脱落(カリエス、根破折、歯周病、不明)、除去(カリエス、根尖性歯周炎、歯周病、不明)、再製(脱離、脱落、カリエス、不明)を想定した。現在、岡山大学医歯薬学総合研究科の研究倫理委員会の指針に則り、申請書類を作成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度の研究予定計画としてはブリッジカルテを用いた前向きコホート調査を遂行すべく、(1)岡山大学医歯薬学総合研究科倫理委員会へ研究遂行の許可申請、(2)接着ブリッジを装着した患者の追跡予後調査、(3)従来型ブリッジを装着した患者の追跡予後調査を行い、接着ブリッジならびに従来型ブリッジの累積生存曲線を作成する予定であった。 しかしながら、当初想定していたよりもブリッジカルテの保管状態が整っておらず、これらを整理することに時間がかかった。本研究で使用するブリッジカルテは良質な臨床研究を行う上で重要なポイント(1)患者全数をフォローする(2)予測因子をあらかじめ設定するという2点を備えたカルテであり、本研究はこのカルテと診療記録とを照らし合わせて、より正確な予後調査を行うことを計画している。したがって、本研究をより質の高い"連続サンプル"として研究を実行する上でも、ブリッジカルテの整理は必要不可欠なステップであった。 さらに、倫理委員会へ許可申請を行うに際し、その予備調査を行い、カルテ調査を行う上でのキャリブレーション法(どのような手順で調査するか、カルテの記述をどのように解釈するか等)や結果因子・予測因子を決定しておく必要があった。 これらの理由から、平成23年度の達成度は「やや遅れている。」となったものの、倫理委員会への申請書作成はすでに行われており、24年度中にその遅れは挽回できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1.ブリッジカルテを用いた前向きコホート調査1-1)岡山大学医歯薬学総合研究科倫理委員会へ研究遂行の許可申請:岡山大学医歯薬学総合研究科の研究倫理委員会の指針に則り、実験計画書を提出し、許可を得た上で本研究を開始する。 1-2)接着ブリッジ・従来型ブリッジ装着した患者の追跡予後調査:本申請研究では、一定期間内に当科で接着ブリッジ行った患者全数を対象として経過を確認する。次に、トラブル(抜歯、脱離、二次カリエス等)を結果因子とし、各種予測因子(年齢、性別、歯種、部位、補綴物の種類および材質、DMFT、被着面処理、接着材の種類、対合歯の種類等)を抽出し、結果因子に対する相対危険度の検出を行う。 1-3)累積生存曲線:続いてトラブルの種類を確認の上、非生存と判断するイベントを確定し、累積生存曲線を作成する。 2.支台歯の生存に関わるリスク因子を同定2-1)内的妥当性の検討(両群間のベースラインデータの確認):口腔内環境の変化を示す代表的な因子として、接着ブリッジ群と従来型ブリッジ群の残存歯数の変化を比較する。これにより、口腔内環境因子が両群の結果に影響を与えているか否かを確認する。 2-2)各リスク因子と結果因子の調査:ブリッジ失敗(トラブル)の内訳を調査し、各リスク因子を再検討し、予測因子を再設定する。 2-3)支台歯生存のリスク因子を同定:Cox比例ハザードモデルに設定した予測因子と結果因子ならびに「接着ブリッジか従来型ブリッジか」も一因子として投入し、支台歯生存に影響を与えるリスク因子を同定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、平成24年度の研究費として成果発表100,000円、研究補助200,000円を計画していた。さらに、平成23年度は上に記したとおりの研究達成度から、設備備品費および研究補助を使用していない。これらの費用も本年度に適切に運用する予定である。
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