接着ブリッジおよび従来型のブリッジの累積生存率とブリッジが失敗に至る因子を明らかにすることを目的として,接着ブリッジおよび従来型ブリッジの長期予後調査を行った.具合的には,1989年4月~1990年3月に岡山大学歯学部附属病院第一補綴科(現岡山大学病院クラウンブリッジ補綴科)で,ブリッジ治療が行われ,ブリッジカルテに記載がある全患者を調査した.2014年11月までにトラブル(脱離・脱落,除去,破損)の記載があるものを「非生存」とした.なお本研究では,根管治療のための除去や口腔内で破損修理した場合も非生存とした.術後のトラブルの記載が認められないものを「生存」とし,来院が途絶えた場合は最終来院日にて「観察打ち切り」とした. 2群間の基礎特性の比較はカイ2乗検定もしくはKruskal-Wallis検定を用い,生存分析にはKaplan-Meier法,Log-rank検定を用いた. 接着ブリッジ群41装置(平均50.7歳,残存歯数23.9本)と従来型ブリッジ群75装置(平均49.3歳,残存歯数23.8本)の年齢,男女比,残存歯数,装着部位(上顎/下顎,前/臼歯),支台歯数(接着2.58歯,従来型2.84歯)に有意差はみられなかった.接着群の10年および18年累積生存率は55.4%であった.従来型群の10年累積生存率は59.1%,18年累積生存率は29.6%,22年生存率が23.7%であった.累積生存率においても,両群間の有意な差は認められなかった(p=0.80). 本研究により,接着ブリッジの累積生存率は,従来型ブリッジのそれと差がないことが明らかとなった.また,接着ブリッジ110装置の13-14年予後調査時のcomplete survival rateが44%,functional survival rateが88%と報告したTanoueら,の結果とほぼ同程度の生存率であった.
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