テーラーメイド型骨代替材に、骨形成能を有する薬剤を封入した薬剤徐放能を有するマイクロスフェアカプセルを組み込むことで、より安定した骨結合を得られる薬剤徐放担体の開発を目的とした。 これまでに我々は、広範囲の骨補填材として、賦形性に優れ、モールドを用いずに作製可能なチタン多孔体の開発に成功している。この材料は、生体親和性にすぐれたチタンでありながら、骨に近似した弾性率を有するため、周囲骨と機械的になじみ、骨吸収することなく骨補填材としての効果を発揮する。また、表面の無数の空孔に骨組織の内部成長が起こり、強固で安定したな骨結合が期待される。この材料の機能化を目的に研究を開始した。 チタン多孔体の形状最適化としては、スペースホルダー法を併用することで、所望の空孔系を制御することに成功した。これによって、空孔内に薬剤を設置、骨成長に有利な構造を付与できることになった。また、徐放薬剤設計として、生体親和性に優れるPLGAカプセルを選択し、内部に骨形成促進作用のある薬剤を封入することを試みた。徐放試験を行った結果、理想的な徐放曲線が得られ、SEMで確認したカプセル形状も申し分ない。 今後は、チタン多孔体表面へのマイクロスフェア設置方法、条件の検討、さらにはin vivoにおける骨反応評価を行っていく。
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