研究課題/領域番号 |
23792235
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
篠原 義憲 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00423533)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 再生医療 / セメント質 / マラッセの上皮遺残細胞 |
研究概要 |
日常の歯科補綴臨床において、義歯の鈎歯、パラファンクションによる外傷歯、インプラントの対合となる天然歯に対し、異常な外力が歯根に加わり、歯周組織が損傷する特にセメント質の剥離や吸収する症例によく遭遇した。そこで本研究では、エナメル上皮とも関連性の深いマラッセ上皮細胞に着目し、これを利用したセメント質の組織再生を考えている。 歯のセメント質の発生起源は歯小嚢細胞であり、歯根象牙質完成ごに歯小嚢細胞が歯根象牙質上に遊走、そして接着してからセメント芽細胞に分化する。この歯小嚢細胞の遊走にはマラッセの上皮細胞との上皮―間葉相互作用が関わっているといわれている。この時期にマラッセ上皮細胞からアメロジェニンやアメロブラスチンといったエナメル蛋白が発現していることが知られている。本年度には、まず予備実験としてヒトに極めて近い種とされるブタ智歯歯胚の組織標本を作製し、免疫染色により上皮鞘のエナメル蛋白の発現を確認した。またヒトやマウスにおいてすでに報告されている上述のエナメル蛋白遺伝子発現以外にマイクロアレイ法を行い固有な遺伝学的特徴を解析した。ブタ新鮮下顎骨から採取された歯小嚢組織から組織培養により得られた細胞コロニーは、cDNAマイクロアレイ法により間葉系幹細胞と同様な遺伝学的特徴を持つが固有の遺伝子マーカーの発現は認めなかった。またウェスタンブロット法により蛋白質発現の解析を行った結果、エナメル蛋白質の発現を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
採取された歯小嚢組織から組織培養により得られた細胞コロニーは、cDNAマイクロアレイ法により間葉系幹細胞と同様な遺伝学的特徴を持つが固有の遺伝子マーカーの発現は認めなかったため、遺伝子学的解析によるマラッセの上皮遺残細胞の単離に至っていないため。
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今後の研究の推進方策 |
cDNAマイクロアレイ法を用いたさらなる遺伝子学的特徴の網羅的解析を遂行する。またウェスタンブロット法により一部のエナメル蛋白質の発現を認めたのでさらに他のエナメルマトリックス蛋白質解析を進める。またこれらの特徴から細胞コロニーを単離採取する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究においてさらなる細胞の遺伝学的・蛋白質発現解析に用いる試薬や器具を購入予定である。また本申請課題遂行のほかに臨床、その他の研究などに従事しなければならない。しかしながら、本申請課題は非常に労力が必要であり、効率よく期間内に達成するために実験補助者の雇用を申請費に計上している。また学会に参加し、再生歯科学の研究者と歯原性細胞の培養法について研究打ち合わせをするための費用を計上している。
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