研究課題/領域番号 |
23792238
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
加地 彰人 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40550009)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 摂食・嚥下リハビリテーション |
研究概要 |
本研究の目的は,近年増加傾向にある肺炎を起こす原因である誤嚥を防止する観点から無歯顎者の嚥下時の咀嚼関連筋の活動と呼吸パターンとの関係を明らかにすることにあり,義歯装着時と非装着時における嚥下時の無呼吸,呼気相,吸気相の発現パターンの違いについて嚥下関連筋の活動,喉頭運動との関係で比較検討することである. 平成23年度に実施した研究の成果については,以下に示すとおりである. 有歯顎者において構築された嚥下関連筋群と喉頭運動および呼吸運動の同時計測のシステムを用いて,高齢無歯顎者での計測システムの構築および解析を行った.筋電図計測は,口輪筋および舌骨上筋群を対象に,表面電極を用いて,原波形とともに平均値積分により得たエンベロープ波形を記録する.喉頭運動に関しては,筋活動の時間的要素の分析基準とするため,呼吸については,嚥下時の呼吸相の指標とするために,小型サーミスタを用いて鼻孔部の温度変化で計測・記録する.以上の計測データは同期・計測しており,各種アンプにより増幅して記録する.上記の計測システムにて,健常無歯顎者10名を対象に,被験食品は,水(5, 10 ,20 ml),半固形食品としてエンゲリード(10 g),固形食品としてクッキー(4 g)とし,義歯あり・なしの条件で,各被験食品をそれぞれ3回ずつ嚥下することとした. 結果・データ解析については,嚥下時の呼吸パターンにおいて,有歯顎者において観察されなかった,吸息ー嚥下ー吸息パターンの出現が,高齢者の義歯を装着しない状況で認められ,適正な下顎位における嚥下が呼吸パターンを正常に保っている可能性が示唆された.また,高齢者では,嚥下時の無呼吸時間の延長が認められ,これによっても,高齢者では嚥下時の呼吸の調節を行っていることが考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
有歯顎者において構築された嚥下関連筋群と喉頭運動および呼吸運動の同時計測のシステムを用いて,高齢無歯顎者での計測システムの構築および計測において,同時計測を行う上で,計測する項目数が多くなり,分析の煩雑性を考慮し,平成23年度は舌圧計測を用いずに研究を行った.しかしながら,システム構築に関しては概ね成功したと考えられるため,次年度は舌圧を含めた計測も行えると考える.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度は舌圧計測を用いずに研究を行ったが,システム構築は概ね成功したと考えられるため,次年度は舌圧を含めた計測も行えると考える.具体的には,高齢者の上下全部床義歯装着患者を用いて,義歯人工歯列あり・なしの条件を実験系に取り入れ,舌圧計測用の圧力センサーを含めた計測を予定している.これにより,嚥下時の舌運動の動向や,人工歯列が嚥下時の呼吸パターンにどのように影響を及ぼしているのかが明らかにできると考える.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は,被験者を増やすための義歯作製や,論文執筆や今後研究を進めるための基礎研究に時間が必要となったため,購入する予定であった器材等が次年度に持ち越しとなった.次年度は被験者も集まる予定であり,舌圧を含めた計測も行うため,高齢者の上下全部床義歯装着患者で,義歯人工歯列あり・なしの条件を含めるために,複製義歯を作製するためおよび,舌圧計測用の圧力センサーを含めたシステム構築のための費用,また,研究成果発表のために研究費が必要である.
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