研究課題
インプラント治療を長期的に成功に導くためには力学的因子が最重要である.天然歯とインプラントでは,咬合力を受けた時の顎骨内での変位様相が異なるため,その被圧変位性の違いにより,力学的不均衡を生じる可能性が考えられるからである.そこでインプラントに付与すべき咬合間隙量を明らかにすることを目的に,咬合初期にインプラントに加わる咬合力を分析した.研究計画ではブラックシリコンを用いた咬合間隙量の計測を行う予定であったが,新たに開発された歯接触分析装置(BiteEye),ブルーシリコンを用いて咬合間隙量を計測することとした.これを用いることにより,より簡便に計測を行い患者の負担を軽減することができる.そこでまずBite Eyeの本研究における有用性を検討することを目的に,我々独自の方法としてデンタルプレスケール検査法とシリコーン検査法(BiteEye),筋電計を併用することで,弱いかみしめから強いかみしめまでの咬合接触状態を正確に把握することが可能ではないか検討した.その結果Occluzerでは,かみしめ強さ60 %MVC以上,BiteEyeでは20 %MVCの弱いかみしめ強さから40-60 %MVCの中等度のかみしめ強さで咬合接触状態の検査を行うことが適切であると考えられた.また,BiteEyeでは,かみしめ強さ40 %MVCで最大かみしめ強さと同等の咬合接触面積が得られる可能性が示唆された.この結果を踏まえて,下顎第一大臼歯部1歯中間欠損部インプラント植立患者に対して,上部構造装着前,装着直後の様々なかみしめ強さにおけるインプラント部および隣在天然歯部の咬合接触面積,咬合荷重量の計測を行った.その結果上部構造装着直後のインプラント部に付与されている咬合間隙量は90 μm前後であった.今後は経時的な変化を検討し,装着時の咬合付与のプロトコールを確立していく予定である.
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