研究課題/領域番号 |
23792248
|
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
高場 雅之 昭和大学, 歯学部, 助教 (30384192)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | dental implants / partial denture / treatment outcomes / quality of life |
研究概要 |
医療技術の進歩によって寿命が伸び,充実した人生を送ろうという意識が高まってきている.つまり,医療の目的が延命から生命の質の尊重へと変化し,Quality of Life(QoL)の重要性が認識されるようになっている.現在,治療(医療)評価の重要な指標としてQoLが用いられるようになった.歯科領域においてはOHRQoLを用いらており,その代表的なものとしてOral Health Impact Profile (OHIP値)があげられる.OHIP値は値が大きいほどOHRQoLが低いことを表す. 歯の欠損は様々な原因で生じるが,それに対する治療はこれらの障害を改善することを目的として行われ,QoLの向上に大きな役割を担うと期待されている.その中で,インプラント治療は,そのシステムが確立されたことや,患者に広く認知されたことからブリッジや有床義歯にかわり欠損補綴の一選択肢として多用されている. 申請者は,インプラント義歯装着患者(ID群)と,可撤性有床義歯患者(RPD群)を比較し,ID群とRPD群のOHIP値の差は,年齢および欠損歯数に関わらず,ID群の方が低い値を示す傾向が認められ,また,欠損歯数よりも補綴装置の違いがOHRQoLにより影響していることをあきらかとしいた. しかしながら,報告した研究の被験者は,治療介入前の口腔関連QoLの影響が考慮されていないという側面がある.そこで,補綴治療介入前後のOHRQoLを測定・比較し,補綴装置装着後長期にわたるOHRQoLの変化を測定することで,補綴装置ごとのOHRQoLの向上の程度を明らかにし,歯の欠損のある患者への補綴治療介入の妥当性について明らかにすることを目的とした
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度インプラント学会にて『部分的歯の欠損患者におけるインプラント治療の前向き介入研究』について発表した.被験者:男性8名,女性12名の計20名,平均年齢は54.4歳,平均欠損歯数は3.3本結果:治療介入前の平均値は51.0,介入後の平均値は29.3となり,有意にサマリースコアの低下が認められた.考察:インプラント治療介入によるOHIP値の変化量は平均21.7,すでに報告されている部分床義歯による変化量(15.0)と比較して約1.5倍の値であった.横断研究の結果とあわせると,部分的歯の欠損に対する治療効果は,部分床義歯よりも,インプラントの方が,口腔関連QoLを指標とした場合,影響が強いと考えらた.
|
今後の研究の推進方策 |
OHRQoLを指標とした症状改善度の臨床的意義をMID*を用いて明らかにすることも検討しているため,今後は被験者数を増やし,データを集めることが必要である.*医科領域では,医療行為が行われた後,どの程度の症状改善度が臨床的意味をもつのかについてMinimum Important Difference(MID)という指標が用いられている.
|
次年度の研究費の使用計画 |
得られたデータをPCにより保存,データ解析を行う.また,成果発表としての学会旅費および英文校正費用として使用する予定である
|