研究課題
【25年度の研究成果】顔面神経麻痺患者に対する機能訓練の効果を検討する。初診時にステロイド療法のほかに我々の考案した機能訓練法を希望する患者を対象に、実験補助者によって機能訓練を指導した。しかしながら、実験協力者の退職も相成り、終了となった。【研究期間全体の研究成果】顔面神経麻痺の患者では、表情筋の働きが低下することで咀嚼機能をはじめとする種種の口腔機能の障害が生じる。しかしながら現在までに障害程度を明らかにした報告は見られないため、以下の実験を行った。実験1として口腔前庭自浄能の測定を14人の急性特発性顔面神経麻痺と14人の健康被験者に対して行った。また、実験2としてグミゼリーの咀嚼によって咀嚼能率の観察を16人の急性特発性顔面神経麻痺と16人の健康被験者に対して行った。これらの口腔機能の観察は初診時と終診時に行った。結果:初診時の口腔自浄能は健康被験者と比較して顔面神経麻痺によって有意(p<0.001)に減少したが、治療によって顔面筋の機能は回復した。また、顔面神経麻痺と食物残渣との関係には有意な相関が見られた。初診時に患側の咀嚼能はコントロールに比べ有意に低かったが、顔面神経麻痺が解決した後はほぼ回復した。結論:末梢性顔面神経麻痺によって口腔機能は減少した。口腔前庭自浄能は顔面筋の筋機能に関連性があり、これらの結果は、顔面神経麻痺の予後の推測までは評価できなかったが、顔面神経麻痺によって咀嚼や口腔衛生能を悪化させ、これらは口腔の疾患を起こしうるかもしれないという可能性を示唆できた。
すべて 2013
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Clinical Otolaryngology
巻: 38 ページ: 231-236
10.1111/coa.12118