研究課題
目的:口腔領域における悪性腫瘍摘出後の症例では,一般的に重篤な口腔機能障害が惹起される場合が多く,その障害の内容も発音,咀嚼,嚥下と多岐にわたる.これらの機能回復を目的とした治療法として,特に咀嚼能力の回復においては,顎義歯による補綴治療が必要不可欠である.そこで本研究では,顎義歯装着者の咀嚼能力を客観的および主観的な各種検査法によって評価し,口腔内の環境因子を一般的な方法に準じて分類することで,それぞれの因子との関連を比較検討し,顎補綴治療において咀嚼能力に関する因子を抽出した.材料と方法:被験者は当科において作製された顎義歯装着者60人であるが,それらは,顎義歯の使用に不具合がなく,研究の趣旨に同意を頂いたものである.咀嚼機能は試験食材2種(グミゼリーおよびワックスキューブ)により評価し,同時に咬合力をデンタルプレスケールにより測定した.また,摂食可能食品アンケートから咀嚼スコアを算出し,患者情報および診査項目である咬合支持域数,残存歯数,欠損形態,対咬関係,外科的再建の有無との相関に関して,統計的手法を用いることで分析した.結果:本研究の結果,咬合接触点数および咬合支持域数が,咬断能力に対して有意な正の相関を示した,また,摂食可能食品アンケートに基づく咀嚼スコアの結果からも,咬合接触点数と咬合支持域数との関連性が認められた.さらに,欠損部における咬合接触も咀嚼能力に関与していることが示唆された.考察および結論:咀嚼能力と各評価項目との相関関係から,咬合接触点数,咬合支持域数,残存歯数,年齢,性別,対咬関係が咬断能力に対して高い相関を有していることが認められ、これらの評価項目が,咀嚼機能回復に有用な因子であることが示唆された.
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