• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

無血清培地において自己組織化単分子膜が間葉系幹細胞の増殖・分化に及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 23792282
研究機関広島大学

研究代表者

平田 伊佐雄  広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40346507)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード自己組織化単分子膜 / 無血清培地 / 間葉系幹細胞 / SAM / MSC
研究概要

自己組織化単分子膜(SAMs)は化学的に規定されたモデル表面として、界面現象や分子間相互反応の研究に広く用いられている。我々は、アミノ基・水酸基・カルボキシル基・メチル基を様々な割合で混合し、化学的に規定されたmixed SAM基板を作製し、幹葉系幹細胞(MSC)の増殖パターンを血清培地と無血清培地で評価した。 血清培養液は様々な種類のタンパク質が含まれているが、含有タンパク質の組成を厳密に評価することは非常に困難であり、なおかつその濃度は血清のロット毎に異なっている。それに対して、無血清培養液は含有物の種類および濃度が厳密に規定されている。表面組成が化学的に規定されたMixed SAM上でMSCの増殖能を血清培養液と無血清培養液で比較・評価したところ、表面組成に対する増殖能のパターンは非常に異なって現れ、なおかつ血清培養液も無血清培養液の方が極めて高い細胞増殖能領域も検出された。 また、Mixed SAMの中で、特定の表面官能基を混合した基板は、MSCの分化も効率よく行うことがわかった。特に軟骨細胞への分化においては、既存の培養皿では細胞は凝集塊になるのに対して、Mixed SAM上ではシート上になり、分化細胞の回収および臨床への利用において有利になると考えられる。 本培養系は、適切な化学組成を有する培養皿と無血清培養液を組み合わせることによって、各種の細胞に対して、完全に規定された培養システムを提供することに初めて成功した。これは,細胞生物学や再生医療に顕著な進歩をもたらすものと期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

表面組成の評価に用いる重要な装置であるESCAが長期間故障していたため、表面状態の解析は平成24年度に繰り越される形となったが、平成24年度に行う予定だったSAM基板上での細胞接着・増殖・分化の測定を前倒しで行うことにより、本研究の最終目的であるMixedSAM基板はMSCの分離および短期間で大量に培養することに最適な表面状態を提供可能であることが、強く示唆された。

今後の研究の推進方策

装置の長期故障により遅延してしまった、Mixed-SAMの表面解析を行い、多細胞とMSCとの増殖能の違いおよび混合培養系における各種細胞間での増殖能の差違による、最終的に得られる細胞数の違いを検討することにより、増殖させたいMSC に対し他の細胞より好ましい環境を与えられる表面特性を有するSAM モデル表面を求める。

次年度の研究費の使用計画

消耗品:(1)SAM 用ガラス基板: 細胞培養用SAM モデル基板およびSPR センサーチップ作製に必要である。(2)金属蒸着費: SAM 用ガラス基板に金属をナノレベルオーダーの厚みで厳密に蒸着する。(3)試薬類: アルカンチオール、無血清培地および表面処理用溶媒を必要分揃える。タンパク発現測定用試薬(PCRもしくはELISA、免疫染色等)を必要分そろえる。国内・海外旅費:研究打ち合わせ・情報収集・成果発表。・謝金等・その他 外国語論文の校閲、論文投稿。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 化学的に規定された培養液と培養基板での幹葉系幹細胞の増殖の向上2012

    • 著者名/発表者名
      平田伊佐雄、Tania Saskianti、金輪真佐美、河本 健、加藤功一、加藤幸夫
    • 学会等名
      第25回日本軟骨代謝学会
    • 発表場所
      ウィルあいち
    • 年月日
      2012年3月10日

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi