研究課題/領域番号 |
23792285
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
丸山 浩美 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50359981)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 歯科インプラント学 |
研究概要 |
本研究の目的は、イメージ連成バイオメカニクスの技術を応用して、インプラント治療における力学的安全性を保証するための術前評価システムを構築し、そのルーティン化を図ることにある。平成23年度の研究実施計画は、頭部撮影用ファントム(人工骨)のCT撮影によって得られるDICOMデータから個体別有限要素モデルを構築し、解析精度の検証と計算コストの効率的削減を行うことである。まず、頭部撮影用人工骨を本院所有のCT撮影装置(HiSpeed QX/I, GE MEDICAL SYSTEMS)にて撮影しDICOMデータを取得した。撮影条件は管電圧;120 kV、 管電流;110 mA、 スライス幅;0.625 mm、 画像配列数;512 x 512とした。得られたDICOMデータを骨強度評価ソフトウェアMechanical Finder(version 6.1 extended edition、計算力学センター)に入力し、結果表示までの一連の動作確認を行った。関心領域(ROI)の抽出では、後々多様な欠損状態の再現が可能となるように下顎骨の外形形状と歯牙部は分けて抽出した。下顎骨部に対してメッシュ基準サイズを0.8 mmとして外形メッシュを生成した後、先に分けて作成しておいた歯牙部から左側第一大臼歯のみを削除した歯牙外形モデルと別途CADソフト(Solidworks)で作成しておいたインプラントの外形モデルをインポートして配置し、内部メッシュを生成した。下顎骨部の材料特性はCT画像の濃度から密度値を求め、これをヤング率へ変換した値を要素ごとに割り当てることにより不均質性を考慮した。下顎骨下縁を完全拘束し、インプラント咬合面側に分布荷重200 Nを作用させた。解析の結果、インプラント周囲骨の相当応力は皮質骨頚部に集中しており、本解析条件下で定性的な評価は十分可能であることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災等の影響により交付決定額の7割を超える額の執行を見合わせるよう通達があったため、主たる設備の購入が当初予定より大幅に遅れた。科研費システムの7割設定解除後に主要設備を早急に購入し、平成23年度計画のうち個体別有限要素モデリングおよび解析手法の確立に着手し、主要設備となるソフトウェア(Mechanical Finder;計算力学センター)を中心とした解析手法の構築は、ほぼ完了した。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの達成度としては、やや遅れているが主要設備となるソフトウェア(Mechanical Finder;計算力学センター)を中心とした解析手法の構築は、ほぼ完了した。平成24年度以降は、これを基盤としてインプラント臨床における様々な疑問点や問題点を解決するために、それぞれの問題の解決に適したモデリングおよび解析手法を確立する予定である。前倒し支払いを生かした予定より早期の技術サポートの導入により、基盤となるモデルおよび解析手法の改良に必要な情報の収集が効率的に行えており、次年度以降も引き続き技術サポートを生かしながら、本研究を推進する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度分の研究実施計画のうちの有限要素モデリングについて、当初計画よりも効率的かつ高精度でのモデリングを可能にするため、使用ソフトウェア(Mechanical Finder;計算力学センター)の技術サポートを導入する必要が生じた。同ソフトウェアは本研究計画の主たる設備に位置づけられるものであり、初年度において当初計画より効率的かつ高精度なモデリングならびに解析手法を確立しておくことは、平成24年度以降の研究内容の質の向上に有益であるため、前倒し支払請求を行った。本ソフトウェアを用いたモデリングならびに解析は、平成24,25年度中においても、その研究実施計画のうち極めて重要な位置を占め、引き続き行う必要があり、平成24年度以降に請求する金額は減るものの研究遂行上は大きな問題はなく、概ね当初の使用計画に沿った研究費の執行を予定している。
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