研究概要 |
本研究の目的は、インプラントに使用される材料表面への細菌付着のメカニズムを解明することと、材料表面へ抗菌蛋白質(ヒトラクトフェリン:LF)を修飾し、抗菌性を持つインプラント材料の開発をすることである。 平成25年度の計画は、これまでの研究に続き、①インプラント用材料表面への細菌付着、細胞への影響についてさらなる検討を行うこと。②唾液タンパク質の吸着、LFの吸着について調べること。③海外の学会で成果を発表すること。④これまでの成果を論文にまとめること。以上4点であった。 ①についてはLFの吸着条件をこれまでの24時間の処理時間から30秒の処理時間にしてもS.gordonii (S.g)の付着を抑制することがわかった。②については、LFを吸着した純チタン(Ti)をムチン等タンパク質を含有する人工唾液中に浸漬し、S.gの初期付着についてLFの抗菌性が維持されるかどうか検討した。LFの吸着、脱着は免疫染色法とXPSにて分析し、細菌の付着抑制についてはクリスタルバイオレット染色法、SEMによる形態観察、LIVE/DEAD染色と共焦点レーザー顕微鏡観察による抗菌性の分析を行った。結果、人工唾液浸漬後もTi表面にLFが残留し,抗菌作用が認められた。③についてはこれまでの成果を、平成25年度4月に東京で開催された第61回,63回日本歯科理工学会学術講演会で口頭,ポスター発表を行ったほか、平成25年9月にローマで開催されたThe 4th International Symposium on Surface and Interface of Biomaterialsにて口頭発表を行った。④については、これまでの成果を国際誌「Biointerphases」に投稿し受理された(Vol. 9, No. 2, 2014, in press)。 以上、平成25年度の計画を予定通り遂行することができた。
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