歯科インプラントは軟組織を貫通し,細菌の巣窟である口腔と生体内の顎骨を連結するという構造のため,埋入時に無菌的に処置してもその後の感染のリスクは極めて高い.本研究では,インプラント(特にアバットメント部)に使用される材料表面へ抗菌蛋白質であるラクトフェリンを修飾し,抗菌性を持つインプラント材料を創製することを検討した.結果,ラクトフェリンを吸着したチタン,窒化チタン,ジルコニアにおいてプラーク初期形成菌であるS.gordoniiをはじめ,インプラント周囲炎原因菌であるP.gingivalis,F.nucleatumの付着を抑制できることがわかり,臨床応用への可能性が示された.
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