研究課題/領域番号 |
23792293
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
安居 孝純 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (80348771)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 歯髄幹細胞 / 細胞表面マーカー / フローサイトメトリー |
研究概要 |
抜去した歯に含まれる歯髄幹細胞は、増殖能力や採取のしやすさから再生医療の早期実現に極めて理想的な細胞と考えられる。現在行われている歯髄幹細胞の分離方法は、採取した歯髄細胞をフラスコに接着培養する手法が主流のため、前駆細胞や他の細胞の混入した雑多な細胞集団となる可能性が否定できない。そこで、われわれは高純度の歯髄幹細胞を直接的に分離する手法の確立を目指し、フローサイトメーター(FACS)を用いてヒト歯髄幹細胞特異的なマーカーの同定を行った。 抜去智歯の歯髄を用いてヒト歯髄幹細胞に特異的な表面抗原マーカーを同定し、骨髄間葉系幹細胞との細胞表面抗原の発現パターンの比較を行った。また、マーカーを用いて予期的に分離した歯髄幹細胞の増殖能・分化能などの性状解析を行い、骨髄間葉系幹細胞との能力の違いを比較した。 CD271およびCD90を用いて分離したヒト歯髄幹細胞は、高いコロニー形成能を示した。また、骨髄間葉系幹細胞との比較にて細胞表面抗原の発現パターン、増殖能、分化能に違いが認められた。 現在までの研究により、FACSを用いて予期的に高純度のヒト歯髄幹細胞を分離することができた。この技術により、歯髄幹細胞のより詳細な性状解析が可能になったと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に予定していた研究は、歯髄幹細胞の細胞表面マーカーの同定とフローサイトメトリーにてヒト歯髄より培養を経ることなく直接的に幹細胞を分離する方法(予期的分離法)の確立、この方法により得られた純度の高い細胞集団の生物学的特性を明らかにすることであった。 現在までの研究により、CD271およびCD90を用いて分離したヒト歯髄幹細胞は高いコロニー形成能を示し、歯髄幹細胞の細胞表面マーカーを同定することができた。また、骨髄間葉系幹細胞との比較にて細胞表面抗原の発現パターン、増殖能、分化能に違いが認められた。 上記のように、平成23年度に予定していた計画通りにおおむね進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの研究にて、ヒト歯髄の細胞表面マーカーの同定とフローサイトメトリーにより培養を経ることなく直接的に幹細胞を分離することができた。今後は、この方法で分離した細胞を免疫不全マウスに移植し従来の接着培養法により分離した歯髄幹細胞や骨髄間葉系幹細胞との骨形成能や血管新生増殖因子(VEGF)の産生量の違いを検討することを目的とする。当初、移植はマウス皮下へ行うことを検討していたが、現在マウス頭蓋骨欠損モデルを用いて行う準備を進めている。これによりCD271およびCD90を用いて分離した歯髄幹細胞の骨形成能をin vivoで評価し、臨床応用に適しているか検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究が研究計画よりも早期に結果が出たことから、繰越額が生じた。H23年度繰越額およびH24年度の研究費を用いて、下記の計画を予定している。 in vivoでの実験に際し、頭蓋骨欠損モデルに使用する免疫不全マウスが必要である。頭蓋骨切削に用いる切削器具や細胞移植のためのコラーゲンゲル、組織学的評価のために使用する免疫染色用の抗体などの購入に使用する予定である。また、ヒト歯髄幹細胞を予期的に分離するための抗体に使用する。
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