研究概要 |
骨粗鬆症患者は欧州、米国、日本で約7,500万人と推定され、社会の高齢化が拍車をかけている。骨粗鬆症治療にはカルシウム製剤、ビスホスフォネート等が使用されている。しかし、治療薬は骨吸収速度の遅延効果はあるが、既に喪失した骨の再生には至っていない。今後の治療薬の開発は骨代謝機能を活性化し、新生骨形成や骨塩量の増加を起こさせる事が重要である。そこで本研究はMg, Zn, Fをリン酸カルシウムに配合するインプラントの新規な表面処理法を開発し、骨粗鬆症ラットの脛骨へ埋入して形成される新生骨の結晶学的な骨質変化と生体元素の効果を解明することを目的とする。 高齢化社会となった現代で,骨粗鬆症患者や予備群の増加は社会的問題となっている.歯科領域において骨粗鬆症患者がインプラント治療を希望する際にOsseointegration獲得までの時間の遅延が示唆されている.またインプラントを長期安定へ導くには骨のモデリングおよびリモデリングの過程でインプラント周囲の新生骨を増加させる必要性がある.現在,骨の基本構造はコラーゲン線維の走行を主体とした有機基質とそこに沈着した無機質の生体アパタイト微結晶で構成されているが,その生体アパタイト微結晶の成熟度は明らかでない. そこで本研究は,インプラント周囲の新生骨の生体アパタイト微結晶の結晶性の成熟度を主とした骨質評価のため,骨粗鬆症においてもっとも病的なラットとして低ミネラル食を与えた卵巣摘出ラット(実験群)および健常ラットに,インプラントを埋入した後に形成される新生骨の組織像および結晶性の経時的な変化を,偏光顕微鏡、RINT-2500湾曲PSPC型微小部エックス線回析装置およびエネルギー分散X線装置を用いてインプラント周囲新生骨とインプラントには接しない脛骨・皮質骨に存在するミネラル(Ca,P,Na,MgおよびK)の正味強度および濃度分布を測定した。
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