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2011 年度 実施状況報告書

低次元酸化物ナノ構造体の高次構造設計によるナノバイオマテリアルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23792303
研究機関大阪歯科大学

研究代表者

西田 尚敬  大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (70448116)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードナノチューブ / 酸化チタン / 生体材料 / DDS
研究概要

骨補填材使用の臨床現場では、新生骨が生成されるまでに骨補填材埋植部位から骨折する例が知られている。これは骨補填材の力学的強度だけの問題ではなく、骨形成能や骨置換性なども自家骨に比べて劣るためと考えられる。市場からも自家骨と同等以上の力学特性、骨形成能および骨置換性を持った人工骨の開発が望まれている。これまでの実験によりTNTが細胞と接着し、生化学因子を加えなくても細胞の骨芽細胞活性が高くなるという知見を得ている。そこで、骨類似アパタイトの核形成を誘起する官能基をセラミックス表面に形成、または周囲にCaイオンが拡散すれば、骨類似アパタイト層が形成しやすくなることが予想される。そこで、TNTの低次元ナノ構造体のバイオテクノロジーへの応用展開を視野に入れ、迅速的に組織再生を誘導させるナノバイオマテリアルを創製することを目的とし、TNTにおける内外表面へのCa修飾を行い、徐放性の可能性を検討した。低温化学合成法により外径約10nm、内径約8nmのTiO2ナノチューブ(TNT)を作製した。このTNTを、乳酸カルシウムを溶解した水溶液中に浸漬し、24時間攪拌還流した。その後、吸引ろ過により固液分離を行いCa-TNTを作製した。得られたCa-TNTのSEM、TEM、EDS分析による構造解析、およびイオンクロマト分析によりCaイオンの徐放性を調べた。SEMおよびTEM像では、ナノチューブ構造を維持していることが確認でき、EDS分析では約5vol%のCaイオンの吸着がみられた。イオンクロマト分析では、10時間経過までは約200μg/gずつ徐放しており、その後はほとんど変化がみられなかった。吸着材料として使用されているTiO2でも微量ではあるが徐放性をもつ可能性が示唆された。今後、徐放機能を制御できるように設計し、バイオマテリアルとしての可能性を拡大していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Caを酸化チタンナノチューブにドープさせる方法を様々な材料や手法を用いた結果、最適な方法を発見し、吸着特性を持っているのもかかわらずわずかではあるが徐放性があることが確認できた。次年度計画であるin-vitro試験へと移行させることが可能である。

今後の研究の推進方策

In-vitro試験へと移行するまでに、酸化チタンナノチューブの徐放特性のメカニズムを解明し、制御可能にすること検討していく。そのためには、酸化チタンナノチューブのサイズの制御を行ない、サイズによる徐放効果を検討する予定である。実験の遂行にあたり、サイズ効果や新たな徐放性の付与に関しては東北大学多元物質科学研究所のナノ材料工学が専門である東北大学多元物質科学研究所高機能ナノ材料創成研究分野の関野徹先生の指導のもと行う。徐放メカニズムの解明後、In-vitro試験を行い、生体材料としてのメリットを明確にしていく。

次年度の研究費の使用計画

アスピレーター」「生物顕微鏡写真撮影システム」に関して、新規購入を行い、細胞培養実験の効率化を図る,「消耗品においては,必要性を十分吟味し,試薬等購入する予定である。研究の成果が得られ次第、国内・国外の学会で積極的に発表し、意見交換および情報発信するために国内旅費、外国旅費、を計上する。また成果の論文による公表のための英文校閲料、研究成果投稿費用を計上する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Influences of Titanium Oxide Nanotubes on Rat Bone Marrow Stromal Cells2011

    • 著者名/発表者名
      Hisataka Nishida
    • 雑誌名

      日本口腔リハビリテーション学会誌

      巻: 24 ページ: 52-56

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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