本年度は、昨年度に引き続き、オーファン受容体GPR40を介した気道リモデリング機構を中心に検討を行った。 1.オーファン受容体GPR40を介した気管平滑筋細胞増殖作用の評価 オーファン受容体GPR40の天然リガンドである長鎖脂肪酸(オレイン酸、リノレン酸)、GPR40の選択的アゴニストであるGW9508を48時間投与した場合の、気道リモデリング作用について、BrdU Cell Proliferation Assay Kitを用いて、細胞増殖作用を評価した。その結果、ヒト気管平滑筋細胞の増殖作用は、オレイン酸、リノレン酸、GW9508の投与により、有意に増大した。また、これらの反応は、PI3K inhibitor (LY294002)、MEK inhibitor (U0126)により有意に抑制された。 2.p70s6k、S6リン酸化の測定 PI3kの下流にあるAkt、及びMEKの下流にあるERKは、ともにp70s6kのリン酸化をもたらすとされる。さらにp70s6kのリン酸化はS6のリン酸化を介して、気道リモデリングをもたらすとされている。そこで、ヒト気管平滑筋細胞に、オレイン酸、リノレン酸、GW9508を投与した場合のp70s6k及びS6のリン酸化を、Western blot法にて測定した。その結果、オレイン酸、リノレン酸、GW9508投与によりp70s6k及びS6のリン酸化が生じた。またこれらの反応のピークは、Aktリン酸化やWERKリン酸化よりやや遅れて生じた。
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