研究概要 |
本研究の目的は以下の通りである。(1)正常組織と口腔癌細胞とにおける副甲状腺ホルモン受容体1型PTHR1の発現を比較し、PTHR1高発現の癌細胞株を樹立後、その発現量と細胞増殖との関連性について検討を行う。(2)高転移株群及び低・非転移株群におけるPTHR1と副甲状腺ホルモン関連蛋白PTHrPとの発現とその関係について比較検討する。(3)PTHR1高発現癌細胞株をマウスに移植し早期に転移するか検討する。これらより「PTHR1の発現と活性の阻害により、口腔癌細胞の転移制御を目指す」ことが最終目的である。【方法】・本年度は最初に(1)に関して、PTHR1 mRNA及び蛋白レベルの発現量の解析を行った。ヒト口腔扁平上皮細胞と歯肉線維芽細胞をcontrolとし、ヒト口腔癌細胞株はよく用いられ報告も多いHSC-2,HSC-3,Ca9-22,SAS,SAT,OSC-19,OSC-20の7種を用いて行った。・用いた口腔癌細胞株は転移能により下記の如く分類した。高転移株群(3種): HSC-3, OSC-19, OSC-20, 低・非転移株群(4種): HSC-2, Ca9-22, SAT, SASの2群である。・Real time RT-PCRでmRNA量を、ウエスタンブロッテイングと免疫染色にて蛋白量を定量し、上記2群間の発現量を比較した。【結果】I.口腔癌細胞株においてPTHR1の発現をmRNA、蛋白レベルで検出する事が出来た。これら発現量は口腔扁平上皮細胞と歯肉線維芽細胞と比較し有意に高レベルだった。II.一方で口腔癌高転移株群と低・非転移株群との間では、PTHR1発現レベルの有意差は認められなかった。以上より口腔癌においてもPTHR1が過剰発現している可能性が示唆された。
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