研究概要 |
本研究の目的は、口腔癌における重要な予後決定因子である「リンパ行性転移」のメカニズムを明らかにするため、口腔癌の微小環境を口腔癌培養細胞株・リンパ管内皮細胞培養細胞株・ならびにマクロファージ培養細胞株・線維芽細胞株を用いた、共培養細胞システムを構築し、より実臨床に近い培養細胞実験系を確立し、中和抗体やsi-RNA などを用いそのシステムを抑制することで、中心的に作用するタンパクを同定することにある。発展的目的としてそのシステムを応用することで、オーダーメイド医療に資する、リンパ行性転移抑制系構築の基礎を築くことにある。1)当科で樹立した、数種の口腔癌培養細胞株(HSC2.3.4.7)ならびに他の研究者から既に供与され、当科で保管している口腔癌培養細胞株と、培養マクロファージ・線維芽細胞培養株を単独、2種の共培養・3種の共培養を行い、培養上清を得た。その際、共培養に用いる細胞数を癌細胞:線維芽細胞: マクロファージで種々の割合に変更し、腫瘍細胞の増殖の多かったもの、などの条件の検討を行った。2)得られた培養上清をリンパ管内皮細胞培養細胞液に加え、リンパ管新生への影響の違いを定量評価した。(この系では、共培養系細胞内のタンパク発現に関する影響は評価出来ない)4)各共培養系の組み合わせにより生じた、細胞内に含まれる炎症性サイトカインと、VEGF-A,-C,-D などのリンパ管新生因子のmRNA 量の違いについてリアルタイムPCR 法を用い、定量評価を行った。4)培養上清のVEGF-A・CをELISA 法を用い、タンパクレベルの発現量を定量評価した。
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