研究課題/領域番号 |
23792332
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
磯村 恵美子 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (70397701)
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キーワード | 国際研究者交流、米国 |
研究概要 |
腫瘍などで下顎骨の区域切除後は顎欠損が生じ、それを補う方法としてプレート再建、腸骨移植や腓骨移植などの骨移植による再建、仮骨延長などが行われている。しかし、従来の再建法では、区域切除時に失った下歯槽神経は回復せず、オトガイ神経麻痺は残存したままである。そこで申告者は本研究において、区域切除後の顎欠損に対し、仮骨延長にて顎の再建を施行する際、同時に下歯槽神経をも延長させることで、下歯槽神経を回復させる可能性を検索した。 平成24年度は、ビーグル犬の下顎骨に下歯槽神経の欠損を伴う10mmの顎欠損を形成し、その近心に下歯槽神経を温存した状態で移動骨片を形成、1日1mmの速度で移動骨片を遠心端に移動させることで仮骨延長した。下顎骨延長後1日1回開口反射の有無を観察し、およそ100日で開口反射の回復を認めた。また延長後3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月に全身麻酔下、オトガイ皮膚の電気刺激を行い、下歯槽神経へのパルスを測定したところ、延長後6ヶ月で神経応答を認めた。安楽死後に再生神経の病理切片を作製したところ、仮骨延長の移動骨と遠心骨との境界で、再生神経と既存神経の遠心端との癒合が認められた。 この結果は、仮骨延長により同時に顎欠損部の下歯槽神経をも再生できる可能性があることを意味する。臨床応用には、神経再生過程において異痛症や過敏症など生じる可能性があり、まだ課題は多い。しかしながら神経再生の可能性を示唆できたという意味では、非常に意義のあることである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の8割を達成することができ、学会発表や論文発表も行った。
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今後の研究の推進方策 |
再生神経の評価として、フルオロゴールドを用いた逆行性トレーシングがまだ途中であるため、ひきつづき継続していきたい。また、論文発表はまだ一部の結果しか出せていたないため、さらに投稿をしていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
ビーグル犬を用いて、まず陳旧性の顎欠損モデルを作成し、6ヶ月ののちに前年度と同様に移植骨の切断および仮骨延長を施行し、延長後の骨内の神経変化を観察する。 評価は前年度と同様の方法を用い、1期的手術と2期的手術の結果を比較検討する。
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