研究課題/領域番号 |
23792337
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河野 彰代 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (10570294)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ミクログリア / サテライト細胞 / オトガイ神経 / 神経因性疼痛 / Iba1 / SK3 |
研究概要 |
本研究はオトガイ神経領域における神経因性疼痛ならびに異所性疼痛の発現とグリア細胞の動態との関連を解明することを目的としている。まずオトガイ神経を結紮した三叉神経の神経因性疼痛モデルラットを作成し、疼痛閾値の行動学的変化とグリア細胞の動態を観察した。術後1週、2週、3週、4週経過した時点で術側および反対側のオトガイ神経および眼窩下神経支配領域に対してvon Frey testを行った。どの領域も術後3週までは術前に比べ過敏になっていたが、4週後では術側オトガイ神経支配領域のみが過敏で、その他の領域では術前と同程度まで回復していた。また術後1日、1週、4週経過した時点で三叉神経節におけるIba1(ミクログリアの特異的マーカー)の発現を免疫組織化学的手法を用いて観察した。その結果、1日後では術側と反対側のそれぞれの三叉神経節ニューロンを取り囲むミクログリアの数に有意差は認められなかったが、術側のミクログリアの突起が延長しているという形態学的変化が認められた。また1週後では術側のミクログリアの数が増加傾向であったのに対し、反対側では術後1日の結果と差は認められなかった。4週後では術側および反対側ともにミクログリアの数が増加傾向にあり、さらに反対側に比べ術側での数が多いという結果が得られた。以上のことから三叉神経第3枝領域の神経傷害による神経因性疼痛にミクログリアの活性化が関与していることが示唆された。 次に術後1週の三叉神経節において、サテライト細胞の特異的マーカーであるSK3とミクログリアの特異的マーカーであるED1との二重染色を行ったところ、ニューロンの周囲をSK3陽性細胞が取り囲んでおり、その外側にED1陽性細胞が位置していた。以上のことからミクログリアのニューロンに対する関与は直接的なものではなく、サテライト細胞を介して影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
出産のために産前産後の休暇を取得したことにより、研究期間が中断されたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた結果より神経因性疼痛とミクログリアの活性化には明らかな関連が認められた。今後は、神経損傷後にミクログリアがどのように活性化され、増加するのかを継時的に定量化して詳細を把握するとともに、それに関わる分子機構を明らかにし、ミクログリアの制御による神経因性疼痛の減弱を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
免疫組織科学的手法に用いる抗体など高価な消耗品の購入、分子生物学的実験の消耗品購入、実験動物の購入、国際学会出席のための旅費、英文校正費
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