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2012 年度 実施状況報告書

オトガイ神経領域の炎症性疼痛および神経因性疼痛におけるグリア細胞の役割と動態

研究課題

研究課題/領域番号 23792337
研究機関大阪大学

研究代表者

河野 彰代  大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (10570294)

キーワードミクログリア / サテライト細胞 / オトガイ神経 / 神経因性疼痛 / 炎症性疼痛 / Iba1
研究概要

本研究はオトガイ神経を結紮した三叉神経第3枝の神経因性疼痛モデルラットを用いて、オトガイ神経領域における神経因性疼痛ならびに異所性疼痛の発現とグリア細胞の動態との関連を解明することを目的としている。昨年度、神経結紮により支配領域への機械刺激に対する逃避閾値が低下することが明らかとなっていたが、今年度はより詳細に観察を重ねた結果、三叉神経第3枝支配領域においては、術側、反対側ともに逃避閾値は術後2週にかけて低下し、術側では術後4週まで疼痛過敏状態が持続したが、反対側では術後3週以降に回復を認めた。また三叉神経第2枝支配領域においては、術側では術後1週から逃避閾値の低下を認め、術後4週まで持続したが、反対側では逃避閾値に有意な変化は認められなかった。
また昨年度までに、逃避閾値の低下と同時期にミクログリアのマーカーであるIba1陽性細胞の光学顕微鏡レベルでの形態学的変化が見られることと、その細胞数が増加傾向にあることを明らかにしていたが、今年度は電子顕微鏡レベルでの観察と、細胞数の定量化を行った。その結果、正常動物ではニューロンとサテライト細胞は緊密に接していたが、術後2週ではニューロンとサテライト細胞の間に間隙を認め、さらにサテライト細胞の外側に沿うようにIba1陽性細胞の突起が伸延していることを明らかにした。またIba1陽性細胞の数に関しては、術後1週以降、術側の三叉神経第3枝領域のニューロン周囲において有意な増加を認めた。また術側の三叉神経第2枝および第3枝領域のニューロンが混在する部位においても、同様の変化を認めた。一方で、反対側ではIba1陽性細胞の数に有意な変化は認められなかった。以上の事から、神経損傷によって三叉神経節におけるIba1陽性細胞の数の増加と突起の伸延が認められることと、ニューロンとサテライト細胞との関係が形態学的に変化することが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

H23年度に出産のため産前産後の休暇を取得したことにより、研究が中断されたため、予定より研究の進行が約1年分おくれている。
実験期間の延長を認めていただいたので、来年度はこのままH24年度に予定されていた実験を遂行していきたいと考える。

今後の研究の推進方策

これまでに得られた結果から、神経損傷後の三叉神経節でのIba1陽性細胞の変化はこれまで報告されてきたミクログリアの特徴と一致しない部分があることが明らかになったため、この細胞の疼痛増幅への関与をさらに詳細に検索する必要がある。また、Iba1陽性細胞と同様にニューロンを取り巻く支持細胞の1種であるサテライト細胞の形態学的変化も観察されたことから、サテライト細胞の関与についても検索が必要である。具体的には、ニューロン、Iba1陽性細胞、サテライト細胞のそれぞれにおいてATPやその受容体の発現、炎症性サイトカイン等の関与について、免疫組織化学的手法や分子生物学的手法を用いて検索する。また、臨床的に傷害の程度によって予後も異なり、症状も多様であることから、今後は神経結紮モデルだけでなく、神経挫滅モデルも用いて検討を行う。

次年度の研究費の使用計画

免疫組織化学的手法に用いる抗体など高価な消耗品の購入、分子生物学的実験に用いる消耗品購入、実験動物の購入、国際学会出席のための旅費、英文校正費用を予定している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] オトガイ神経結紮モデルラットにおける三叉神経節でのIba1陽性細胞の動態

    • 著者名/発表者名
      角野公紀、河野彰代、丹羽均、本間志保、脇坂聡
    • 学会等名
      第115回大阪大学歯学会例会
    • 発表場所
      大阪府吹田市、大阪大学大学院口腔科学研究棟
  • [学会発表] オトガイ神経結紮モデルラットにおける三叉神経節でのIba1陽性細胞の動態

    • 著者名/発表者名
      角野公紀、河野彰代、丹羽均、永谷俊介、本間志保、脇坂聡
    • 学会等名
      第118回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 発表場所
      かがわ国際会議場

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公開日: 2014-07-24  

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